マスク、イェ、トランプ…メディアを手に入れ、影響力を増す富豪たち
◆限られた数の富豪が所有するメディア
ビリオネアによるソーシャルメディア買収といえば、テスラの最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスクによるツイッター買収も大きな話題となっている。今年の4月、マスクはツイッターの株式の9.2%を取得。その後、取締役員の一人に就任した上、買収意思を表明した。その後、買収合意を破棄しようとする動きなど、紆余曲折があったが、10月27日に買収取引が完了。マスクがツイッターの新たな所有者となった。マスクも「表現の自由」を標榜する。過激な発言やデマなどでアカウントが凍結されているドナルド・トランプ前米大統領のツイッターアカウントは凍結されているが、こうした人物や発言を容認する方向へと進むことが予測されている。トランプのアカウントを凍結した法務の責任者は解雇された。一方のトランプは、ツイッターアカウントの凍結を受けて、自身のメディア会社を通じてSNSアプリ、トゥルース・ソーシャル(Truth Social)を立ち上げている。
限られた数の富豪たちが所有するメディア。そもそもソーシャルメディアというカテゴリーを確立させたマーク・ザッカーバーグが所有するメタは、フェイスブック、インスタグラム、ワッツアップのすべてを傘下に持っている。さらに、SNS以外でもジェフ・ベゾスのワシントンポスト紙の所有や、ルパート・マードックのフォックス・ニュースやウォール・ストリート・ジャーナル紙などの所有など、富豪によるメディア所有の例はいくつもある。
イェ、トランプ、マスクなど、とくに保守的な発言が目立っている富豪らは、所有するプラットフォームを通じて、政治的な権力を増大させ、社会に大きな影響を与えることが予測される。表現の自由や、多様なメディアの存在は、民主主義にとって欠かせない要素だが、限られた数の富豪が影響力の大きい主要メディアを所有するという状況は、必ずしも健全な状況ではなさそうだ。
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