スポティファイ危機 ジョー・ローガン問題でアーティスト離反、解約者増加の可能性も

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◆過去の黒人蔑視発言も問題に
 ローガンの問題が拡大した理由は、新型コロナの誤情報だけでなく、先に述べたNワードを過去のエピソードで多用していたことにもある。この問題に関してはインディア・アリーがローガンの発言を槍玉に上げてから注目を集め、なおさら批判が高まったことで、インディペンデントによると、スポティファイはジョー・ローガン自身が過去の113エピソードを削除したと述べた。

 しかし、スポティファイが1億ドルも支払ったローガンをそう簡単にお払い箱にするわけはない。NBC系経済情報局CNBCによると、同社CEOのダニエル・エク氏は、ローガンのコメントが人を傷つけるものであったことは認めつつ、「ジョーを黙らせることが答えではない」としてローガンをかばい、契約を継続する意向を示した。

 スポティファイに対するボイコット運動はいまも続いており、それに伴いスポティファイのサービスをキャンセルする人々も急増している。フォレスターリサーチの調査によると、アンケートの結果、利用者の19%がこれまでスポティファイをキャンセルしたか、またはキャンセルする予定と答えている。この流れを食い止め、印象を改善するためには、スポティファイは今後ローガン問題に対してこれまで以上の対応をする必要が出てくるだろう。

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Text by 川島 実佳