波紋呼ぶ米公共ラジオ看板パーソナリティの退社 その背景とは

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 米公共ラジオNPRの看板ニュース番組の一つ『All Things Considered:ATC』の共同パーソナリティとして人気を集めていたオーディー・コーニッシュ(Audie Cornish)が先日、退社を発表。NPRでは、ここ最近、とくにPOC(ピープル・オブ・カラー、白人以外の人々・人種)の女性ジャーナリストの退職が続いており、コーニッシュの退社のニュースが波紋を呼んだ。その背景とは。

◆オーディー・コーニッシュの離職表明
 今月4日、コーニッシュは自分も「大辞職」に加わると言い、一連のツイッター・スレッドで自身のNPR退社を伝えた。NPRと番組のリスナーを敬愛しており、退社はリスクだが新たな挑戦を楽しみにしていると述べた。コーニッシュは、2005年にNPRのナショナル・デスクに参画し、ハリケーン・カトリーナなど米国南部のニュース報道を担当した。2008年には政治担当となり、バラク・オバマが歴史的な当選を果たした選挙戦の報道に携わった。そして2012年、ATCのチームに参画し、アリ・シャピロ(Ari Shapiro)、メアリー・ルイーズ・ケリー(Mary Louise Kelly)、アリサ・チャン(Alisa Chang)とともに、番組の平日ホストとして活躍した。ATCは、NPRが放送を開始した1971年から続いている同局のフラッグシップ番組の一つ。ATCは平日午後の2時間番組と週末の1時間番組で構成される日刊のニュース番組である。

 コーニッシュは2020年、米国の全国プレス財団(National Press Foundation:NPF)の最高峰の賞で、卓越した放送ジャーナリズムに対して送られるソル・タイショフ(Sol Taishoff)賞を受賞した。NPFは公共ラジオにおける彼女の長年のキャリアを讃えるとともに、業界をよりよいものにしようとする起業家精神、彼女の今後の活躍に対する期待に関しても言及した。コーニッシュは『Consider This』や『Pop Culture Happy Hour』といったATC以外のポッドキャストの開発・展開にも積極的に関与し、NPR外でバズフィードの映像番組のパーソナリティを務めた経験もある。ソル・タイショフ賞は毎年、CNN、NBC、フォックス・ニュース、ABCなどさまざまな放送局のジャーナリストに対して送られている。過去には、米国史上最も多くの視聴者を獲得した2016年大統領戦の第一回目のテレビ討論会にて、ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプの討議で司会進行役を務めたレスター・ホルト(Lester Holt)などが受賞している。

 NPR退社表明から6日後、コーニッシュはCNNプラスのチームに加わるということが発表された。彼女はCNNのワシントンDC局の一員となり、CNNオーディオの新しいポッドキャストも担当する予定だ。

Text by MAKI NAKATA