日本企業も対応不可避、欧米でますます高まる「人権デューデリジェンス」意識
今年発足したバイデン政権はトランプ前政権の対中姿勢を継承し、米中関係は人権問題を軸にさらに対立が深まった。それによってグローバル企業は大きな影響を受ける形になり、欧米企業を中心に、企業が経済活動を行うなかで人権侵害リスクを把握し、その軽減や予防に努めるとする「人権デューデリジェンス(Due Diligence)」の意識が広がった。日本企業も、強制労働との関係が指摘される新疆ウイグル自治区産の綿花やトマトの使用停止、調達先変更などを余儀なくされるケースが相次いだ。この動きは来年も続き、影響を受ける企業がさらに増える可能性がある。
◆中国への制裁対象範囲を拡大させるバイデン政権
米議会上院は12月20日までに、中国西部・新疆ウイグル自治区で生産された商品の輸入を全面的に禁止するウイグル強制労働防止法案を可決した。同法は、企業などに輸入品が新疆ウイグル自治区における強制労働によって生産されていないことを証明することを義務づけ、それを証明できなければ米税関・国境警備局が輸入を停止できるとしている。企業がそれを証明することは決して簡単な作業ではなく、今後企業の経済活動に制限が出てくる可能性がある。
バイデン政権は16日にも中国のドローンメーカーなど8社に新たな経済制裁を発動するなど、経済制裁対象の範囲を拡大し続けている。
◆日本企業への影響
これをめぐり今年、日本企業への影響も相次いだ。たとえば、新疆ウイグル産綿花を使用しているとして、ファーストリテイリングが展開するユニクロのシャツが米国への輸入を1月に差し止められた。またフランスでは4月、人道の罪を隠匿しているとして現地人権NGOから刑事告発された。フランス検察当局は7月、ユニクロなど4社について捜査を開始したと発表している。
- 1
- 2