ベルギーの修道院ビール、200年ぶりに製造再開 クラフトビールブームで復活
◆チャンス到来 クラフトビールブームに乗っかった?
ところが、2007年になりグリムベルゲンのビールを製造していたメーカーがデンマークのカールスバーグの傘下に入った。そこで修道院の会計を担当するカレル神父がカールスバーグのセースト・ハートCEOに醸造所再開のアイデアを伝えたところ、ハート氏は熱く支持したという。(WSJ)
実は合併買収を繰り返してできたハイネケン・ホールディングやアンハイザー・ブッシュ・インベブをはじめとする世界的なビールの複合企業は、味気ないラガービールからビールファンが離れていくなか、成長を促進するためライバルのクラフトビール会社を買収している。カールスバーグも、各国で地ビール工場を立ち上げており、ユニークなグリムベルゲンの修道院ビールに商機ありと見たようだ。(同上)
カールスバーグは、醸造所建設に数百万ユーロを費やした。同社の関係者によれば、グリムベルゲンのビールは100リットル当たりのコストが最も高いビールの一つになっているというが、修道院の歴史と、伝統へのリスペクトがその理由だと説明している。(同上)
◆伝統と最新技術の融合 神父も前向き
グリムベルゲンのプレスリリースによると、グリムベルゲンのビール作りを監督するのは、28歳のフランス人醸造家、マーク・アントワン・ソション氏だ。修道院の図書館に眠る古い本から引き出した伝統の醸造法と最新の技術をミックスし、素晴らしいプレミアムビールに仕上がったということだ。3種類のラインナップでスタートし、カールスバーグの主要な欧州マーケット向けに樽やボトルで販売される。
修道院内にはバーやレストランも作られかなり商業的だが、カールスバーグからの収入は修道院の維持管理や慈善活動に利用されるという。ちなみにいくらもらっているのかは、カレル神父いわく「商業上の秘密」らしい。(WSJ)
15人いる神父たちは朝7時に起床して祈りを捧げるいつもの生活を続けているが、みなビール作りを支持しているそうだ。神父たちもビールを飲んでいるのかという来訪者の質問に対し、毎日は飲まないが日曜の夜には必ず飲むとカレル神父は答えた。ソション氏は「うちには試飲役がフルで揃っています」と付け足した。(同上)