ベルギーの修道院ビール、200年ぶりに製造再開 クラフトビールブームで復活

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 欧州では、古くから修道院でビールが作られてきた。ベルギーのグリムベルゲン修道院もその一つだったが、災難に見舞われ200年ほど前に製造をやめている。ところが大手ビール会社の力を借り、今年から製造を再開。施設内に醸造所も建設され、修道院は伝統の復活に沸いている。

◆製造中止から200年以上 名前は残っていた
 ブリュッセルの北郊外にあるグリムベルゲン修道院は、ノルベルティン(プレモントレ)修道会の神父たちが1128年に設立した。当時は飲料水の質が悪かったため、代替品としてビールが修道士たちによって製造され、教会の大切な収入源にもなっていた。(ロイター

 しかし2度の火災とフランス軍による略奪のため、1798年にグリムベルゲンのビール作りは中断。修道士たちは19世紀初頭に戻ってきたが、製造が再開されることはなかった。その後1958年にグリムベルゲンの名前と紋章だけは地元のビールメーカーによって引き継がれ、以来修道院ビールとして製造されてきた。こういったやり方は、高齢化と財政難に苦しむ修道院ではよくあるものだとウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は説明する。礼拝所とはほとんど共通点のない商業的施設で製造されるため、本物ではないという批判もある。

Text by 山川 真智子