離職者急増、アメリカ人がいま仕事を辞める理由

Nam Y. Huh / AP Photo

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、世界中の多くの国々で外出自粛令(または禁止令)が発令された2020年。アメリカも例にもれず、ニューヨークやロサンゼルスなど多くの都市が一時ゴーストタウンのような状態となった。その結果として主にサービス業やそれに関連する業界で大量解雇が行われ、失業率が急激に上がった経緯は記憶に新しい。

 2021年に入り、アメリカではワクチン接種が急ピッチで進められたことで各州・都市で徐々に経済再開が始まった。多くの州ではまだマスク着用やソーシャルディスタンスなどの規制が残っているが、昨年と比較すればかなり「普通」の状態に戻っていると言っていいだろう。筆者の居住するハワイ州ホノルルでは屋内(公共の場所)でのマスク着用令さえ敷かれているが、新規感染者数の減少で現在、段階的規制制度の第4段階まで来ており、マスクを除けばほぼ元の生活に戻っている。

◆「会社に戻りたくない」人々が増加
 そんななかで、自粛中はリモートワークを許可していた多くの企業が、ワクチン接種が進んだことで、オフィスに戻って働くよう社員に要求し始めているという。CNNによると、ある企業のCEOは「社員をオフィスに呼び戻すことに情熱を注いでいる」と話している。この企業では、社員のリモートワークが続いていることで、「(企業内での)クリエイティビティや、チームメートが顔を合わせて会話することから生まれる自発性、創意工夫がなくなっている」という。働く人々にとって、リモートワークは長い時間かかることも多い通勤の必要性がなく、家族との時間、または自分の時間が増える。また煩わしいことも多い人間関係がシンプルになったり、必要のないミーティング時間を省けたりと良いことは多くある。しかしそれと同時に、皆が一緒にオフィスで働くことで生まれる団結力や、必要なときすぐに同僚や上司と直接コミュニケーションがとれるフレキシブルさは失われてしまうだろう。自宅で仕事をすることで時間の節約にはなるが、何かと集中できないことも多い。皆が直接顔を合わせないことで人間関係も希薄になって会話も減り、チームワークやソーシャルライフにも影響が出てきそうだ。

 しかし、2020年3月の非常事態宣言から約1年4ヶ月を経たいま、自粛生活やリモートワークを経験したことから、人々の働き方やライフスタイルは大きく変わった。育児などの問題もあり、これまでの職場にフルタイムで戻るのは難しいと考える人々は多い。そんな状況下で、いまアメリカではこれまでの職を離れ、新しい仕事や自営の道を選ぶ人が急激に増えているという。
 

Text by 川島 実佳