巨大化しすぎたビッグ・テックと「セクション230」の行方
米国のビッグ・テック企業が成長を続けるなか、規制の必要性や、ビッグ・テック企業のCEOによる意思決定のありかたを問うといったようなバックラッシュも起こっている。ビッグ・テックに対する懸念の中核にあるのが、その権力(パワー)の大きさだ。
◆巨大化したビッグ・テック
パンデミック下でグローバル経済が停滞するなか、ビッグ・テックの好調が続いている。頭文字をとってFANGAMと総称される、フェイスグック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)、アップル、マイクロソフトの各企業は、業績を伸ばし、株価を上昇させた。米国の株価指数S&P500は昨年18%上昇したが、その3分の2がFANGAM株価上昇によってもたらされた。アマゾンの株価は62%上昇、アップルの株価も70%上昇した(ガーディアン)。
アップルは、2018年8月にその時価総額が1兆ドルを記録した世界初の企業。現在、同社の時価総額は2.1兆ドル、マイクロソフトが1.9兆ドル、アマゾンが1.6兆ドル、アルファベットが1.6兆ドル、フェイスブックが9205億ドルと続く。ネットフリックスは、ほか5企業と少し離れてはいるが、その時価総額は2230億ドルで、トヨタ自動車の2276億ドルとほぼ並ぶ。自動車業界トップのテスラの時価総額は5842億ドルだ。
この株価上昇にともない、株を保有する各企業の創業者・社長の自己資産も拡大した。ブルームバーグのビリオネア・インデックスによると、ジェフ・ベソスの純資産は1890億ドル、イーロン・マスクは1680億ドル、ビル・ゲイツは1430億ドル、マーク・ザッカーバーグは1210億ドルだ。グーグルを創業したラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの純資産も、それぞれ1000億ドルを超える。現時点で、このインデックスのトップテンのうち9名が米国のビリオネアで、8名がテック業界の人物だ。
アマゾンの米国EC市場におけるシェアは約4割。同社はさまざまなベンダーのためのマーケットプレイスであると同時に、その市場データをもとに、ベンダーの人気商品に似たような自社商品を開発し、より低価格で販売していると指摘されている。またアップルも、iPhoneユーザーに対して自社のアプリを展開すると同時にベンダーのアプリに対しては30%の手数料を請求することで、独占状態を生み出していると批判されている。さらに、フェイスブックは、WhatsAppやインスタグラムの買収によって、SNS市場を独占しつつある。昨年7月、フェイスブック、アマゾン、アップル、グーグルのCEOが全員、議会で証言を行った。これらのビッグ・テック企業が多大な権力と影響力を持ち、実質的にモノポリー状態にある状況に対して、反トラスト法の観点から議会が介入をはかったという流れだ。(NPR)
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