「自動・抜き打ち検査」で万引き防止 スマホレジ普及のスイスのスーパー
◆スマホレジは「自動・抜き打ち検査」あり
スイスのセルフレジは、店員1名が監視することで万引きを防いでいる。そうでない場合は、レジにいる店員からセルフレジがよく見えるようになっていて、誰かが監視できる状態にしているようだ。頭上に、ビデオモニターが設置されている店も見かける。
スイスでは、セルフレジに加え、店内の専用スマホで商品のバーコードを都度スキャンしながら買い物を進めるスマホレジも普通の光景だ。日本では、イオンが昨年からスマホレジを展開し始めている。スキャンすることが楽しいため、スイスでも親子連れで子供がスキャンしている姿をよく見かける。
スイスでは、セルフレジより先にスマホレジが導入された。Coopでは2007年、Migrosでは2011年のことだ。
セルフレジもスマホレジも、客の不満度が高かった待ち時間を短縮しようというねらいで発展してきたが、Coopでスマホレジを導入したのはもう一つ理由があった。マイバッグ持参を推進して、レジ袋の利用を減らしたかったのだ。
スマホレジがなぜマイバッグ普及に役立つかというと、Coopではスキャンした商品を店のかごやカートではなく、持参したマイバッグにすぐに入れることが許されているからだ。この方法だと精算時には購入品はすべてマイバッグに入っているのでカゴやカートから移し替える必要はなく、さらにスピーディーに買い物ができる。
買い物中にマイバッグを堂々と使ってよいとなれば、当然、万引きは誘発されると考えられる。それに歯止めをかけるため、Coopのスマホには精算時に、マイバッグに入れた全商品を店員に見せる「抜き打ち検査」の知らせがランダムに表示されるようにしてある。
くじに当たるような感覚といえばよいか、その表示が出たら商品チェックを拒否することはできない。ただし、定期的に、もしくは先週も今週もと立て続けに検査を受けなければならないときは、以前にスキャン操作の間違いや万引きがなければ異議を唱えることはできる。この「抜き打ち検査」はMigrosのスマホレジでも同様だ。
スマホレジを何年も使っている筆者としては、検査の万引き防止効果は高いのではないかと感じる。これまで何度も検査を受けたことがあり、そのたびに「スキャンし忘れていないはずだが大丈夫だろうか」と一瞬不安になった。いつ、誰が検査を受けるかがわからないことは、スマホレジを使う客全体に、ある程度の心理的な圧力を与えているはずだ。
スマホレジが自動的に検査を知らせることは、店員にとっても利点だ。店員が客を選んで検査するとなると、声をかけづらいこともあるだろうし、客との間で口論が起きるかもしれない。