「自動・抜き打ち検査」で万引き防止 スマホレジ普及のスイスのスーパー
昨夏から小売店でレジ袋が有料化され、マイバッグ持参が増えている。それに伴い、マイバッグを使った万引きが増加したと感じているスーパーもある。また、セルフレジの設置が進むにつれ、いくつかの商品を故意にスキャンせず持ち去る客も増えていると聞く。店員がすべての万引きを把握するのはやはり難しい。
海外でもマイバッグとセルフレジの普及は進んでいるが、どういった対策を取っているのか、スイスの例を紹介しよう。
◆スーパーでの万引き率は1割?
スイスを含め、ヨーロッパの一部ではレジ袋が無料だったころからマイバッグ持参は珍しくなかった。スイスでは、2016年にスーパーのレジ袋が有料化され、移行期間を経て2021年から非食料品販売店でもレジ袋の有料化が始まった。
スイスでは、スーパーでのマイバッグの正しい使い方は2016年以前から定着していたように思う。個人的な観察の範囲だが、10年以上前を振り返っても、誰もが、レジで精算が済んでからマイバッグを広げて商品を詰めていたように見えた。
とはいえ、万引き防止の防犯ゲートを出入り口に設置していない店もあり、精算前にマイバッグに入れてごまかす行為はいまも昔もあるだろう。通勤・通学バッグや洋服のポケットに入れて支払わないことも起きている。それは、次のアンケート結果からもうかがえる。
2019年に18~74歳までの男女1500人に聞いたアンケートによると、国内の食品市場の約70%を占める2大スーパーMigrosとCoopにおいて「1回以上万引きをしたことがある」と答えた人は、12%がMigrosで、11%がCoopでだった。スイスでもスーパーのセルフレジ設置が進んでいるが、セルフレジで万引きをしたことがあった人は8%にとどまった。回答者全員がセルフレジを使ったことがあったわけではないため、もしセルフレジに慣れていたら万引き率が上がった可能性はあるだろう。なお、18~25歳での窃盗率は高く、21%がMigrosで、18%がCoopで、16%がセルフレジで万引きしたことがあったという。