特別な地位を確立するG-SHOCK 海外セレブ、コレクターも虜に

ジョン・メイヤーらと共同開発した限定モデル|Thomas Ljungdahl / Shutterstock.com

◆3階から落としても大丈夫
 人気の秘密は、やはりどんなシーンにも対応できる頑強な構造だ。米時計販売サイトが運営するウォッチ・ガイド誌(2020年12月1日)は、カシオが目指したのは「世界で最も多用途な時計」だと紹介している。開発にあたりカシオは強度を机上で計算するだけでなく、プロトタイプを3階の窓から実際に落下させ、問題なく動作することを確認した。結果、キャンプなど過酷なシーンにも耐えるようになっており、「ビーター・ウォッチ」と呼ばれる耐衝撃性のきわめて高い腕時計としてコレクターの間でも人気を集めている。垢抜けない外観も「意図的に不恰好なデザイン」だと同誌は解釈したようだ。外観よりも機能性を優先した結果、「出来上がったものは皮肉にも、人々が美的なレベルで愛する無骨な仕上げの一台の機械である」とし、飾らないからこその美しさを醸し出しているのだという。

 このような実用性重視の腕時計は、日常的な使用にもってこいだ。WSJ紙は愛用者の声を伝えており、米東部ロードアイランド州で犬の散歩代行サービスを営むクレイトン・ロス氏もその一人だ。多くの時間を過ごす氏にとって、軽量で豪雨にも耐えるGショックは仕事に欠かせないという。一方でプライベートの時間にはロレックスを着けるなど、使い分けを楽しんでいるようだ。ほかにも家事中にだけタフなGショックを愛用しているという時計マニアのジェイソン・ブッチェリ氏など、シーンに応じて腕時計を着け替えたいというユーザーに広く支持されている。

◆手首から広がるリラックス
 近年ではリモートワークが普及し、職場と自宅のファッションの境界があいまいになってきている。このような傾向もGショックの利用を促進しているようだ。WSJ紙はある男性ユーザーの例として、Zoomのテレビ会議にきちんとした格好で臨むが、画面に映らない足元にはスリッパを履き、そして手元にはカジュアルなGショックを着用することでリラックス感を楽しんでいるというケースを紹介している。さらには単に着飾らないというだけでなく、1998年のクライム・コメディ映画『ビッグ・リボウスキ』のキャラクターが愛用していた「6900」モデルにノスタルジーを感じる腕時計ファンがいるなど、懐かしさも魅力の一つになっている。

 加えて、バラエティ豊かなラインナップも求心力の源になっている。ウォッチ・ガイド誌は「無限のオプション」があると述べる。形状とカラーが多彩なだけでなく、気圧・高度計や温度センサーなどを備えるタイプも出ており、ニーズに応じた自分らしい一本に出会えることが何よりの魅力だ。

 初代登場から40年近く経つGショックは、あらゆる場面に対応する気取らないファッション・アイテムとして、近年ますます多くの人々の日常に彩りを加えている。

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Text by 青葉やまと