ヴィーガンレストランがフランスで初ミシュラン、その意味とは

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 ミシュラン社により出版されるミシュランガイドが2021年版に更新され、フランスで初めて、ヴィーガンレストランがミシュランの星を獲得した。米国とドイツではすでに、ベジタリアンとヴィーガンのメニューがあるレストランがミシュラン星を獲得しているが、フランスにとって初めてとなる。世界三大料理の一つであるフランス料理には、フォアグラやエスカルゴなど高級で珍しい料理が多い。そのような背景もあり、ベジタリアンやヴィーガンの動きはあまり浸透しておらず、野菜は単なるサイドディッシュと見なされてきた。そのフランスで、ヴィーガンレストランがミシュランに認められる意味は大きい。

◆ヴィーガンフレンチレストラン、ONA
 その名誉あるミシュラン星を獲得したレストランは、フランス南西部ボルドー近郊の小さな街アレスにあるONAだ。ONAという名前の語源はOrigine Non Animale、英語ではNon-Animal Origin、「動物起源ではない」という意味である。メニューはすべてヴィーガン料理で、店内の装飾や設備に至るまでウールや皮製品は一切使用せず、店内は完全にアニマルフリーである。1900年にミシュランガイドが創刊されて以来、フランスで登場した最初のアニマルフリー・レストランとなった。ミシュランは、2021年選出の重要なポイントは、フランス全土に多様なスタイルの料理が継続的に普及していることだとしている。

 ONAのシェフ、クレア・ヴァリー氏は、元考古学者であり、独学でヴィーガン料理を学んだ。7コースからなるディナーメニューを59ユーロ(約7400円)で提供しており、そこには、黒トリュフニョッキを添えたイエローズッキーニ・ラビオーリ、野菜のリコッタを添えたスイスチャードのバロティンなどが含まれる。彼女はレストランの設立資金をクラウドファンディングで集め、エシカルバンクからのローンを確保した後、2016年にレストランをオープンした。資金が足りなくなった際には、自らソーシャルメディアを介して80人のボランティアを集め、2ヶ月かけて店舗を完成させた。「このミシュラン星はフランスの美食がより包括的になっている証拠であり、ヴィーガンコミュニティに良い影響を与える。そしてプラントベース料理もそこに属している」と彼女は述べた(CNN)。

Text by sayaka ishida