日本の「根回し」、海外のビジネスシーンで脚光? 会議を変え、変革をもたらすテクニック

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 公式な会合の前にあらかじめ個別に合意を形成しておく、日本特有の「根回し」。回りくどい慣習のようにも捉えられがちだが、むしろ必要な変化を組織内に迅速かつスムーズに浸透させる手法として、海外のビジネスシーンで脚光を浴び始めている。

♦︎造園用語に由来
 米フォーブス誌は根回しのコンセプトについて、関係者に事前に話を通し支持を得ておくことで、提案したい変革やプロジェクトについて基礎を形成する、非公式なプロセスのことだと説明している。その語源は造園用語に由来する。樹を移植する際は1年以上前からその周囲を掘り下げ、太い根を絶っておく。こうすることで代わりに細かい根が張り、移植しやすい状態に育つ。転じて、関係者と事前に調整を行っておくことを根回しと言うようになった。

 同誌は有意義なミーティングを実現する9つのテクニックを挙げ、良い議題を用意することに続いて重要なポイントとして、根回しの実践を勧めている。現実問題として、議題が意義深いものであるほど、議論は白熱しがちだ。どれだけ周到に準備しようとも、出席者たちから予想外のやっかいな要求や反対意見などが返ってくるケースも多い。こうした反応を完璧に見越しておくことは難しいが、根回しをきちんと実施しておくことが予防策になると同誌は論じている。

 このように同僚や上司などを事前に巻き込むことでプロジェクトを進めやすくする根回しだが、興味深いことに会社上層部にとっても有益なようだ。小規模ビジネスに向けた情報を提供する米オール・ビジネス誌は、ビジネスの専門家であるミーガン・トッカ氏による寄稿記事を掲載している。それによるとアメリカのスタートアップ企業では、資金のショートを防ぐためにCEOが新製品の投入を急ぎたいものの、従業員と足並みが揃わないため開発のスピードが上がらず、必要な期間内に製品が形にならないケースがままあるという。プロセスを改善しようにも、改善案に対する反対者が現れ、開発は足踏みしてしまう。このようにスピード感を求めたいスタートアップ企業のCEOにとっても、意思決定を迅速化するための根回しは有用だという。

 ただし、根回しを行う際には注意事項があり、決して自分の意見を事前に押しつけることを目的とすべきではない。では、どのような手法が優れた根回しと言えるだろうか?

Text by 青葉やまと

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