海中熟成ワインの時代が来る? 驚きのその味 老舗メゾンも検証プロジェクト
◆170年海底に眠ったシャンパン
ワイン情報専門サイト『エッチェ・ヴィーノ』によれば、これまでも何度か難破船から古いボトルが引き上げられることがあったという。たとえば、1997年バルト海で発見された船は、1916年に撃沈されたもので、約5000本のシャンパンを積んでいた。翌年引き上げられたヴィンテージシャンパンを、専門家は「泡が豊富で、驚くほどフレッシュ」だと評している。
またより最近では、2010年にもバルト海に眠る難破船から168本のシャンパンが引き上げられた。そのうち47本はヴーヴ・クリコ社の1835年ものだったというから、約170年ものあいだ海底に眠っていた計算だ。知らせを受けて駆けつけたヴーヴ・クリコのカーヴ責任者ドゥマルヴィル氏はこのシャンパンを賞味し「甘くフレッシュな味わい」だと形容した(ナショナル・ジェオグラフィック誌)。
期せずして海底セラー効果を目の当たりにしたヴーヴ・クリコ社は、さっそく新プロジェクトを発動。4年後の2014年には、350本のシャンパンをバルト海に沈めた。2054年まで40年かけてその味の変遷を研究する計画だ(マッシング・アップ、16/5/23)。
ワイン情報サイト『トゥー・ル・ヴァン・コム』によれば、ヴーヴ・クリコ社以外にも、ワインを水中に寝かせる試みに着手するセラーが最近増えてきたという。なかには、アンフォリス社のように、海中セラーを業務とする会社まで誕生した。
今後のワインの味の広がりが楽しみになる傾向である。また、さらに夢想が許されるなら、海には不足しない日本。海中熟成の日本酒の可能性も知りたいところである。
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