海中熟成ワインの時代が来る? 驚きのその味 老舗メゾンも検証プロジェクト

ヴーヴ・クリコ社 Cellar in the sea プロジェクト

 9月頭フランスはブルターニュのサン・マロ沖で、約600本のワインが引き上げられた。15メートルの深さに1年間寝かせたワインのお味はいかに? 今世紀に入ってから注目されはじめた海中ワインセラーの効果を紹介する。

◆白は若返り、赤は堅固に
 サン・マロ沖のワインボトルの入れ替えは、2003年から毎年、イメルジオン協会が中心になって行っている。希望するワイン醸造家たちのボトルを数百本、15メートルの深さに沈めるのだ。光の届かない海中、「温度は約10度と一定しておりセラーとしては理想的」(ウエスト・フランス紙、15/6/8)な環境で、ワインは潮流により日に2回揺さぶられる。このアイデアの出所であるサン・マロのソムリエ、ウード氏は「(この揺さぶりにより)ワインの熟成が進むと予想していたが、そうではなかった」と驚きを語る(20minutes、9/5)。

 実際、「白ワインは、海中に沈められることで、若さを取り戻す」のだ(同)。ヴァル・ド・ロワールの醸造家ロワ氏は、引き上げられたヴァランセの白の味を「ソーヴィニヨン果実と瑞々しさが加わり、パイナップルと洋ナシの香りが強く美味だった」と表現する(同)。赤ワインはと言えば、熟成が進み、タンニンの多い力強い味になり、シャンパンは、海中で泡がさらに細かくなり、素晴らしい効果を得るという(同)。

Text by 冠ゆき