「Bセグの有力候補」トヨタ新型ヤリス、英国レビュー 従来イメージ脱却にも注目
新型ヤリスの欧州モデルが現地の一部地域に登場した。デザインと効率性を改良した2020年モデルに、イギリスの自動車メディア各誌は揃って5段階中4つ星の評価を与えている。年配のユーザーの割合が大きくなっていたヤリスだが、若年層へのアピールに舵を切ったようだ。
◆若年ドライバーに響く個性へ
英テレグラフ紙は、歴代モデルでファンを虜にしてきたヤリスが「さらに楽しく、さらに効率的に」なったと紹介している。日本ではヴィッツの名で親しまれてきた本モデルは、国外では1999年のデビュー当初から一貫してヤリスの名を冠してきた。とがった特徴のないクルマではあるものの、オプションで選択できる1.0Lエンジンの燃費の良さは突出していた。しかし英テレグラフ紙は、近年では豊田章男社長が脱却したいと宣言した「退屈なクルマ」の代表格のような存在になってしまっていたと振り返る。個性の確保に本腰の入る本モデルは、その汚名をそそぐ存在になると期待してよさそうだ。トヨタは開発時のペルソナ(マーケティング用語で、ターゲットとなる顧客層を代表する架空の人物のこと)として、パリに住むスザンナという若い女性を想定したという。若者の購入者層への強い意識を感じさせるエピソードだ。
ヤリスの新しいイメージ戦略を象徴するのが、デザインの変化だ。登場間もない頃のヤリスは、丸みを帯びたユーモラスなデザインで若者の心を掴むことに成功していた。ところがライバル車のデザインが向上してゆくと、ヤリスは信頼性と効率性重視の年配の顧客層に愛されるようになり、便利だが凡庸なクルマというイメージが定着してしまう。英オート・カー誌(8月12日)はこのような経緯を指摘したうえで、「しかし近年のトヨタは、『刺激』や『欲求』などと呼ばれるものを思い出したようだ」と改めて評価する。新型欧州版ヤリスの主張のあるホイールアーチやなだらかなリアなどからは、従来のヤリスに欠けていた攻めの姿勢を感じることができる。
- 1
- 2