コロナ後のオフィス・仕事どう変わる?「社会的距離オフィス」、接触追跡、在宅勤務
これまで一般的だったワークスタイルが、COVID-19の流行により急激に変化している。多数の従業員が集まる前提だったオフィスは、今後どのようにあるべきなのだろうか。感染のリスクを減らしながら事業を維持するため、各社はハード面での改善やリモートワークへの補助金支給などを推進すると見られる。
♦︎社会的距離を保つ「6フィートオフィス」
世界で不動産事業を展開する米クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド社は、今回のパンデミックを受けて「6フィートオフィス」の概念を提唱している。各社オフィスにおいてその機能を維持しながら、従業員の安全性を高めるための提言だ。エレベータ内では他者と6フィート(1.8メートル)の距離を保てる立ち位置にマーキングするほか、オフィスフロアではデスクを中心に床に円を描くことで一定の距離の確保を促すなど、比較的迅速に導入できるであろうハード面での改善案が提示されている。
ほかにも世界では、さまざまな感染予防策が考案されている。ワシントン・ポスト紙(4月23日)は「パンデミック後の職場は私たちが従来親しんだものとは似ても似つかないものになるだろう」と述べ、大きな変革を予期している。感染者の早期発見策としては、サーモスキャンの導入が拡大するという。大手では米Amazonが赤外線カメラを使った独自の施策をテストしているほか、ゴールドマン・サックスなどが検温の導入を検討中だ。万一感染者が発覚した場合に備え、任意の人物との接触歴を追跡するツールも有望視されている。英プライスウォーターハウスクーパースには、すでに50社以上の顧客企業から追跡ツールに関する問い合わせが入っているという。
さらに社会的距離の確保の視点からも、複数の施策が考案されている。IBMではアジア地域で先行して施策の導入を進めており、その一環としてデスクなどオフィス家具の数を削減している。同様の試みは中国の不動産デベロッパーも行っており、シミュレーションソフトを用いて、必要な社会的距離を入力すると削減すべきデスクの数を試算できるツールが作成された。市松模様のように、交互に空席を作ることが有効だと考えられている。さらに、既存ツールを逆転の発想で活用する例もある。オフィスで有効活用されていない区域を調べるためのモーションセンサーがあるが、今日ではむしろ密になりがちな場所を検出する用途で使われ始めている。
衛生確保の観点では、デスクに私物を置かないことで清掃を行いやすくする「クリーンデスク・ポリシー」も発案されている。共用部の衛生確保においては、手を使わずにトイレのドアを開閉できるよう、足で開ける「フット・プル」の導入も各社で検討されているようだ。
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