燃料電池車の時代来るか? 2代目トヨタ MIRAIが切り拓く、水素エネルギーの可能性

♦︎ゼロ・エミッション、さらに燃料補給も手軽に
 トヨタ MIRAIがこれほどまで持てはやされるのは、環境に優しいゼロ・エミッション車の一つだからだ。水素からエネルギーを得た後は、純粋な水のみがクルマから排出される。ガソリン車と比較すると、航続距離が長いのも有利だ。また、EV車と比較した場合にも、水素自動車ならではのメリットが存在する。英タイムズ紙は水素自動車一般に、燃料補給の手軽さがメリットになると解説する。EV車の充電にはステーションの規格によっては一晩かかることも珍しくないが、水素の燃料補給は3分程度で完了する。水素タンクに低温の液体水素を注入し、それを燃料セルで電気に変換して走行する仕組みだ。

 オート・カー誌はこれらに加え、EVのように重たいバッテリーを搭載しないことも利点だと解説している。車体重量を抑えることができるため、燃料の無駄な消費が起きないというわけだ。

 こうしたメリットを備える水素自動車についてテレグラフ紙は、今後10年以内にメインストリームになるのではないかという大胆な予想を示している。

♦︎普及の課題とは?
 メリットが強調される水素自動車だが、現時点ではそれほど普及が進んでいない。その課題とは何だろうか? テレグラフ紙が指摘するのは、水素ステーションの普及の問題だ。イギリスでは6年前の初代MIRAI登場時に政府が普及目標を策定したが、今年が達成期限となるにもかかわらず、目標を大幅に下回っている状態だという。トヨタは先日、実証実験都市「Woven City」の建設を発表したが、そのなかで水素ステーションの計画に触れられていないのも不可解だ。

 オート・カー誌は別の観点として、車両の製造コストが常に問題となってきたと語る。燃料セルごとに30〜60gのプラチナが使われるため、燃料電池車のパワートレインの価格は同クラスのEV車と比べて約10倍とも言われている。また、自動車自体はゼロ・エミッションとはいえ、燃料となる水素の製造過程で大量の電気を消費するという隠れたデメリットが存在する。このほか安全性への疑問も出ており、韓国では水素貯蔵タンクの爆発事故が発生し、2名が死亡している。

 日常の使用シーンでも、細かなトラブルが想定されるようだ。燃料補給はガソリン車並みの短時間で済むはずだが、タイムズ紙が実際にステーションで補給を試みたところ、-40度に冷却された液体水素のせいでスタンドの供給ノズルが車に張りつき、しばらく身動きが取れなくなってしまったという。もちろんデメリット一方というわけではなく、たとえば長距離の貨物輸送などでは本領を発揮できるのではないかと同紙は見ている。改良型トヨタ MIRAIはこうした制限を超え、乗用車としての需要を開拓できるかが試されている。

Text by 青葉やまと

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