燃料電池車の時代来るか? 2代目トヨタ MIRAIが切り拓く、水素エネルギーの可能性

 昨年末に開催された東京モーターショーにてトヨタは、燃料電池車のMIRAIの2代目となるコンセプトカーを展示している。水素自動車は未来の低エミッション車として期待されつつも、なかなか普及が進まないのが現状だ。MIRAIは水素エネルギーの明日を変えることができるだろうか。

♦︎進化した2代目コンセプト
 新型のMIRAIは、洗練されたスタイリッシュなデザインが目を引く。初代と比較するとノーズ部分が伸び、すらりとしたプロポーションに変化を遂げた。

 駆動方式がリアドライブに変更され、先代よりも安定感が期待できるのも大きなポイントだ。乗り心地はBMWやメルセデスベンツ近いとのことで、英テレグラフ紙(1月20日)は開発を担当したトヨタのエンジニアの言葉を引き、「初代と2代目の唯一の共通点は名前くらいのものだ」と大幅な進化を紹介している。定員も1名増えて5人乗りとなり、実用性が増したのも嬉しい。

 デザインだけでなく、燃料電池車としても一段と進歩した。燃料セルの改良により水素から電気への変換効率が向上しているほか、よりエネルギー損失の少ない新型モーターを採用している。水素タンクの数は従来の2つから3つに増え、これにより航続距離が3割ほど向上し、650キロにまで延びている。

 これまで新奇性でアピールしてきたトヨタ MIRAIは、実用性に訴えるステージへと昇華している。オート・カー誌(2019年11月13日)は2代目の進化を受け、「大がかりな抜本的改革のおかげで、(MIRAIは)少数生産の珍しいものから、水素に関するトヨタの来年(2020年)のグローバルな目標を引き上げるほどの、明確な自信を感じさせるセダンへと変化した」と評価している。

Text by 青葉やまと