産業用大麻の栽培に乗り出す農家たち、とまどいのスタート

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 デイブ・クラビル氏と2人のビジネスパートナーは、小規模ながらヘンプ(産業用大麻)の栽培を始めた。アメリカで再び合法化されたマリファナ品種を2種類、工業都市フリント郊外にある薄汚い道路沿いに広がる1エーカーの土地で育てている。

 これまでは一筋縄ではいかなかった。記録的な豪雨により発生した洪水で、一部の植物に被害が出た。3人は農地を注意して歩き、貴重な雌株を保護するために全体の3分の1にあたる1,000本の不良雄株を取り除かなくてはいけなかった。作物が盗まれることもあった。それだけのことをしても稼ぎが得られるかどうかはまだわからない。クラビル氏はこの状況を「20ドルの作物を植えて50ドルの収穫を得る」とたとえている。

「栽培を1エーカーの土地で始めたのはそのためだ」と同氏は話す。彼は小さなマーケティング会社を経営しており、ミシガン州で500人を超えるヘンプ栽培登録者の1人だ。登録者の多くは、需要が急増している抽出物カンナビジオール(CBD)で一儲けしたいと考えている。「少しは何とかなりそうだ。失敗することもあるが、それで命を落とすわけではない。(中略)来年はもっとうまくできるだろう」

 2018年に産業用ヘンプが合法化されたことで、既存農家のほかクラビル氏のような参入者が関心を持つようになった。初期段階では困難であることが判明しつつあるが、魅力的な市場が手に入る。CBDに対する需要のおかげで、市場規模は2025年までに現在の5倍以上になるとみられている。マリファナのような高揚感をもたらすことのないこの合成物は、不安軽減、鎮痛、入眠などの作用があるとして大々的に宣伝されている。

 アメリカは世界最大のヘンプ輸入国で、大麻草が連邦レベルで合法化される前から、2014年農業法に基づいて複数の州が実験プログラムを展開していた。政府は先月、CBDに関してアメリカ全土で適用される暫定的な規制案をまとめた。2020年初頭にも商用化に向けた道筋がつくとみられている。

 ミシガン州では、第二次世界大戦以降この地では初めてとなる作付け時期に、大麻愛好家や低価格作物以外に手を広げたい大規模農家などが集まった。

 弁護士のキース・ハーゲン氏と農業を営む2人の兄弟にとって、これまでのてん菜、小麦、乾燥豆以外に作付けを増やしたのは、おもに金銭的な理由からだった。アブリーでヘンピュアファームを立ち上げ、ほぼ州全体に広がる約140ヘクタールの土地でヘンプを栽培した。

「いまのところ、どの作物からも十分な稼ぎは得られていない。マージンがとても少ない。それに関税が上乗せされると、少ないマージンがさらに搾られてしまう。ヘンプのような新しい作物には、農業の専門知識が必要とされる。栽培方法など、できる限りの勉強をすることになった」とハーゲン氏は話す。

 ヘンプの製造、とくにCBDの抽出は労働集約的な仕事である。高品質の種を収穫するのは難しく、費用も高くつくことがある。ここで問題となるのが、雑草を取り除く作業だ。殺虫剤を安全、合法的に使用する方法はほとんど知られていない。収穫前には、大麻に含まれていて高揚感をもたらす成分THCの含有検査が行われる。THC濃度が0.3%を超えると「ホット」とされ、その植物は廃棄しなくてはならない。

 農家には多くの落とし穴が待ち受けている。「条件が悪く、無一文になる人もたくさん出てくるだろう。恐ろしいほど複雑な事情がある」とハーゲン氏は語る。

 非営利推進団体Vote Hempによると、ヘンプ合法化を受けて30を超える州で2018年の5倍にあたる1万7,800のライセンスが農家や研究者に交付された。ただし、20万2,350ヘクタールの約半分、推定11万9,000ヘクタールの農地では作付けが行われなかった。種子やクローンの未入手、資金不足、経験が不十分な栽培者の「過多」が原因だとされている(Vote Hemp調べ)。作付けされた農地の50~60%、4万8,560~5万8,280ヘクタールでは収穫が行われるが、不作や不適格な植物などはお蔵入りとなる。

 ヘンプ生産を促すために新たに制定された農務省の暫定規則では、植物検査、身元確認など多くの関係者が要望している指針が示されるだろう。

 業界では、食品医薬品局(FDA)の政策動向にも注目が集まっている。同局によると、CBDを含む製品は店頭やネット上ですでに販売されているが、CBDが含有された食品やダイエットサプリは非合法である。合成物の正式認可に向けた方法が検討されているところだ。

「わずかながらの医薬品市場と、店頭販売の市場がある」と述べるハーゲン氏は、今年はローションやオイルなどの製品向けに約68万キログラムの乾燥ヘンプを生産する見込みだ。「本当の意味で市場が生まれるのは、FDAが消費財へのCBD含有を認めるときだ。現実に何ができるかが明らかになるだろう」と話す。

 ミシガン州立大学農業・アグリビジネス研究所のディレクターを務めるロン・ベイツ氏によると、将来ヘンプを栽培したい人はあらかじめ実地で契約しておくべきだという。

「植物を収穫して、エレベーターに乗せて販売しようと思ってはいけない。市場のインフラはそこまで整備されていない」とベイツ氏は指摘する。現状は、多くの州で制度に追いつこうとしている段階だ。

 ミシガン州の産業ヘンププログラムでディレクターを務めるジーナ・アレッサンドリ氏は、「多くの人にとって、答えより疑問の方がたくさんある状態。関係者全員にとって、今年は学びの一年だ」と語る。

By DAVID EGGERT Associated Press
Translated by Conyac

Text by AP

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