「醜いアヒルの子が白鳥に」トヨタMIRAI Concept、初代からの進化を海外メディア好感

♦︎プリウスからレクサスの方向へ
 水素燃料を動力とするMIRAI Conceptは、一充填走行距離の向上にも力を入れている。トヨタによると従来比30%の向上を開発目標としており、実現すれば約640キロ超となる。これは平均的なガソリン車に匹敵する数字だ。米カー&ドライバー誌は、後輪駆動へのシフトで得たパワーとこうした特徴を併せ、「プリウスというよりはレクサスのような、新たな方向性へ進んでいる」と評価している。

 もっとも現状ではインフラの未整備が足かせとなってか、水素自動車の本格普及には至っていない。モータートレンド誌によると、MIRAIが最も売れている米市場でも運転者は計6000人に留まる。ほぼ全員がカーリースを利用しており、購入者は1%に満たないという。ただし水素ステーションの整備は今後加速するものと予想される。EVと比較した場合、自宅に充電ステーションを用意しなくて済むほか、5分程度という燃料充填時間の短さも魅力だ。スマートに進化した二代目MIRAIが、その市場の牽引役となることは十分にあり得るだろう。

♦︎「FCVだから」ではなく
 MIRAI Conceptは開発段階の最終モデルであり、2020年末の発売が予定されている。スタイリッシュになりいっそう選択しやすくなったデザインからも感じられるように、FCVという最大の特徴を隠してもなお魅力あるクルマをトヨタは目指しているようだ。同社チーフエンジニアの田中義和氏は、FCVだからMIRAIを選ぶのではなく、MIRAIを選んだら偶然それがFCVだったという形が理想だと語る。

 初代からFCシステムを一新したMIRAIは、TNGAプラットフォームと20インチの大径タイヤの採用でよりスマートで軽やかな印象を目指す。全長4975ミリ、全幅1885ミリと、大型で安定感ある造りだ。コンセプトモデルは11月4日まで、東京ビッグサイトで展示されている。日本を含めた世界主要市場で、2020年末の発売が予定されている。

Text by 青葉やまと