「iPhone登場時のよう」『ホンダe』プロトタイプ、英メディアの反応 ライバルはMINI
ホンダが欧州で披露した新型EV車のプロトタイプが、その個性あるデザインで注目を浴びている。7月上旬にイギリスで開催されたモータースポーツの祭典「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード2019」で発表されると、パンダのような愛くるしいデザインが話題を呼んだ。外観だけでなく、EVの概念を一新するデザイン哲学が詰まっている。
◆ミニマルなデザイン
ホンダeのトレードマークは、フレンドリーかつ可愛らしいデザインだ。英BBCが放送する自動車番組『トップ・ギア』は、オリジナルのシビックに代表される意匠の流れを汲んでいると評価している。開発の指揮を執ったホンダの人見康平(ひとみ・こうへい)氏は、クリーンでシンプルなエクステリアを追求したと語る。ドアハンドルやワイパーさえ極力隠して配置し、ビジュアル上のノイズを排除した。機能の集合体ではなく、感情を掻き立てる一塊のオブジェクトに仕上げることを目指したという。インタビュー記事をまとめた同番組は、本プロトタイプはパンダのような愛らしい存在だが、それ以上の意義があると語る。EV市場の将来を見据えたモデルだと述べ、2007年当時のiPhoneになぞらえてその重要性を強調している。
優れたデザインはエクステリアだけではなく、内部設計にも行き届いているようだ。英テレグラフ紙は一例として、ドライバーの操作感覚に配慮したブレーキを挙げる。多くのEV車では、制動時のエネルギーで発電しバッテリーに蓄電するという仕組み上、減速時の踏み込みの強さにムラが生じる。発電が行われなくなる低速に達すると、どうしても強く踏み込む必要が出てしまう。しかしeプロトタイプではペダルが入念に調整されており、このような違和感がほとんど生じない。ルックスだけでなく、細かな運転感覚にも配慮が行き届いている。
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