MINI初のEV「MINI クーパーSE」 計算された「都市型」のベストバランス
◆都市型のベストバランス 航続距離は必要十分
完全EV化にあたり、気になるのは航続距離だ。カタログ値では最大270キロ(WLTC値)となっている。米自動車情報誌『ジャロプニック』は、テスラは一回の充電で400マイル(約640キロ)を走り、クーパーSEの航続距離を大きく上回ることを指摘している。数字上はテスラには及ばないものの、クーパーSEは街乗りのクルマとして真価を発揮すると同誌は分析する。実際、商品開発はアーバン・カーをコンセプトに進められたようだ。開発チーフのエレナ・エデル氏は、都市型車として効率と航続距離のベストバランスを探ったと振り返る。
オート・エクスプレス誌も、航続距離がそれほど長くない点を指摘しつつ、十分に実用に耐える性能だと分析している。BMWでMINIの責任者を務めるペーター・シュヴァルツェンバウアー取締役は、「アーバン・カーに距離は求められない。精神的(に必要と感じているだけ)に過ぎない」と述べている。同氏によると、MINIのオーナーの平均運転キロ数は1日あたり37キロであるという。すなわち、1回の充電でおよそ1週間乗り続けられる計算だ。既存EV車の性能に引っ張られることなく、必要十分な性能をコンパクトな車体に詰め込むという開発精神が貫かれたモデルだ。
◆最高時速150キロ 35分で8割充電可能
新型MINIの最大出力は135kW、184hp。最高速度は時速150キロとなる。動力源となる電気モーターは、ボンネット内に搭載する。加速性能については、静止状態から時速100キロまで7.3秒かかる。
バッテリー容量は32.6kWhで、T字型にレイアウトされたものが車両の床下に配置される。航続距離は前述の通り最大270キロ。50kW出力に対応する急速充電ステーションでは、35分間で容量の80%までチャージ可能だ。11kW出力の場合、2.5時間で80%まで充電する。価格は欧州で3万2500ユーロ(約387万円)。
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