「魔性の女効果」 美しい女性は仕事で損をしていた=米研究

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◆美女が信用されないのは進化的・社会的な理由から
 シェパード准教授らはさらに、プライミング効果と呼ばれる心理学の手法を使ってテストを行った。参加者に「自分のパートナーは自分だけを愛しているし絶対に浮気しない」と暗示をかけてから、魅力的な女性の信用度を評価してもらったのだ。すると、魅力的な女性に対してもそうでない女性に対しても、参加者の信用度は変わらないという結果になった。

 調査では最後に、参加者の半分を前述の「恋人は浮気をしない」という恋愛面で安心感を抱くプライミング効果を、もう半分は恋愛感情が不安になるようなプライミング効果を使い、テストを行った。参加者に、リストラを発表した女性が「クビになるべきか」と聞いたところ、安心感を抱くプライミングを行ったグループは、魅力的な女性もそうでない女性も同じくらい信用できると回答した。しかし不安感を抱いていたグループは、魅力的な女性の方が信用ならないのでそうでない人よりも解雇されるのにふさわしいと答えた。

 シェパード准教授はこの調査結果について、進化的な面と社会的な要素のどちらも関係していると分析する。進化的に見ると、女性は自分の魅力を使って繁殖相手を見つけてきた。そのためより魅力的な女性を見ると、自分のパートナーを奪う競争相手や脅威と映るのだ。男性の場合は、魅力的な女性に惹かれるものの浮気するのではないかと心配になるのだという。一方で社会的な理由としては、魅力的な女性はその美しさを武器にキャリアで優位に立てることで、男性や魅力的でない女性は、それを不公平だと感じるからだと同准教授は説明している。

 シェパード准教授は結果について、こうしたバイアスのせいで美しい女性はほかの人と比べ信頼関係を築きにくいと指摘。しかし時間をかけて率直な付き合いをするようアドバイスしている。

Text by 松丸 さとみ