活気あふれる中国のEV市場 各メーカー新型投入 上海モーターショー2019

AP Photo / Ng Han Guan

 中国では今年、自動車販売を促進していた助成金支給の規模が縮小される。そのため、今年の上海モーターショーでは、中国のドライバーの購入意欲をそそる電気自動車を製造しようという、業界の世界的な競争激化に注目が集まっている。

 共産党の指導者は、深刻な販売不振のなかで、電気自動車の販売目標を掲げてその達成を強制し、さらに経済的な締め付けを加えることで、負担を自動車メーカーに押し付けようとしている。電力のみで動くタイプ、およびハイブリッドタイプのセダンやスポーツ用多目的車(SUV)の中国国内における販売台数は昨年、60%も急上昇し、130万台を記録した。これは全世界での合計販売台数の半数に相当する。しかし、自動車全体の売り上げは、4.1%減少し、2,370万台にとどまっている。

 電気自動車を購入する人々は、1台につき最大で5万元(約84万円)の助成金の恩恵にあずかってきたが、この助成金は1月、半分に減額された。そして来年には助成金の支給は打ち切られる。

                                                                                                                 

 自動車業界に詳しいUBSのアナリスト、ポール・ゴング氏は、「競争はさらに激しさを増している」と語る。

 共産党の指導者たちは、大気汚染に悩まされる中国の都市を浄化し、中国が前途有望な電気自動車の分野で先導的な地位を築くことに望みを託し、15年にわたり電気自動車の普及推進に力を入れてきた。

 ゼネラルモーターズ、フォルクスワーゲン、日産などの世界的な自動車メーカーは、中国市場の嗜好に合わせたモデルを開発している。それら大手の自動車メーカーは、潤沢な資金と技術力を有している。一方、比亜迪汽車(BYDオート)や北汽集団(BAICグループ)など10年にわたり低価格の電気自動車を販売している地元の競合他社は、豊富な経験を強みとしている。

 4月20日に一般公開される上海モーターショー2019では、自動車メーカーは、高級SUVから1万ドル以下で購入可能な超小型車にいたるまで、何十種類もの電気自動車の展示を予定している。電気自動車のパフォーマンス、価格、さらには外観までも、ガソリン車に負けない出来映えを狙ったものであることを強調する構えだ。

 フォルクスワーゲンの最高経営責任者、ハーバート・ディエス氏は、「2020年末までには、顧客は電気自動車の選択を視野に入れざるを得なくなることだろう」と語る。

 ディエス氏は、1月に中国を訪れ、「電気自動車は、収容性能に優れ、より広い空間を提供できるよう急速に変化しつつあり、活気にあふれている」と述べている。

 アメリカとヨーロッパの自動車に対する需要が横ばい、または減少傾向にある現在、自動車メーカーは世界で最大規模を誇る中国の市場で売り上げを伸ばし、活路を見いだそうとしている。そのため、各自動車メーカーとも、電気自動車の普及を目指す中国の推進運動に対し、積極的な協力体制を敷いている。

 今週、ゼネラルモーターズは、シボレーのヴォルトをベースにしたハイブリッド車を含む中国市場専用初の完全電気自動車、ヴェリテのラインアップをビュイックブランドから発表している。フォルクスワーゲンは、2025年までに50種類の電気自動車モデルを発売する計画の一環として、SUVのコンセプトカーを展示する。

 日産自動車と中国のパートナー企業は、昨年8月、中国市場向けに発売された完全電気自動車、シルフィ・ゼロエミッションを展示する。BYDオートは、1回の充電で400キロメートルの航続が可能であることを売りとする完全電気自動車のセダンを展示する。

 UBSのゴング氏は、「電気自動車への移行を迫られることは、脅威というよりむしろ好機だ」と語る。
 
 ガソリン車の分野では後発となる中国ブランドは、主に低価格ゾーンで全世界の売り上げのわずか10%を占めているに過ぎないとゴング氏は言う。しかし、電気自動車では中国ブランド各社の売り上げは世界の50%を占めている。

 ゴング氏は、「電気自動車の分野では、中国のメーカーは他に先駆けて動き、市況の変化にも敏感に対応した」と語る。

 中国の与党である共産党は、電気自動車の研究助成と購入者の支援に対し何十億ドルもの資金を投じた。国営の電力会社は、73万もの充電ステーションを中国国内いたるところに設置した。これは他のいずれの国々をも遥かに凌ぐ広範囲の充電ネットワークである。

 一方、自動車メーカーは、伝統的なSUV、ミニバン、およびセダンの売り上げが昨年、30年ぶりに減少を記録し、その販売を再び増加に転じようとして苦心している。

 中国とアメリカ間の関税戦争と経済成長の鈍化によって、顧客は神経を尖らせるようになり、高額な購入の決断にとても慎重な姿勢をとるようになった。この顧客の購買欲の減退が今年、販売不振に拍車をかけた。第一四半期の売り上げは、昨年の同時期に比べ13.7%も下落した。

 それでも、業界関係者は、中国での販売台数は2025年までに年間3,000万台を超えると予測している。

 フォードは、2018年の売り上げが37%下落したが、今年、中国での販売事業を再開した。同社は、製品ラインアップが旧来のままであることを販売不振の理由に挙げている。

 世界的な規模で事業を展開する自動車ブランドは、低コストでの生産経験が豊富な中国のパートナー企業との提携を推し進めている。

 フォードは、電気自動車のベンチャー企業、衆泰汽車と手を結ぶ。ゼネラルモーターズと中国のパートナー企業は、来年までに10種類の電気自動車モデルを発売する計画を立てている。メルセデスベンツはBYDオートと提携し、デンツァ(DENZA)ブランドを立ち上げた。フォルクスワーゲンの電気自動車の合弁事業は、新ブランドのSOLを設立し、昨年、SUVの販売を開始した。

 新たなシステムの下では、自動車メーカーは今年、電気自動車の販売構成比を少なくとも10%、さらに2020年には12%に到達させなければならない。この目標を達成できなかった自動車メーカーは、目標を達成した競合他社から不足分のクレジットを購入することになる。

 規制当局によると、この目標値は後日引き上げられることになるだろうという。

 中国では、電気自動車にはガソリン車よりも依然、高額な値札が下げられている。しかし、充電にかかるコストと維持費はガソリン車よりも低い。業界アナリストによると、少なくとも年間1万6,000キロメートル運転する人であれば、長期的に見て出費の節約につながるという。

 中国最大のSUVブランドである長城汽車は、電気自動車ブランドのオラ(ORA)を設立し、この販売ノルマに対していち早く対処の姿勢を見せた。昨年12月に発売されたオラのコンパクトカー、R1は、長城汽車のSUVと並べるとまるでおもちゃのように見えるほど小さいが、助成金を利用すればわずか5万9,800元(約100万円)の資金で購入できる。

 自動車メーカー間の競争を刺激する動きが活発化するなか、中国は昨年、電気自動車メーカーの所有権削減の解除に踏み切った。

 これに呼応したテスラは、アメリカ国外初の生産工場を上海に建設する計画を発表した。

 混雑していて凸凹の激しい中国の道路においては、SUVが最も安全な選択肢とみなされている中国では、一般大衆は大型のSUVを愛している。この事実は、中国当局の思惑とは相反している。しかし、中国の国民感情は変化しつつある。

 UBSの調査によると、国内の購買者の71%は電気自動車を試してみてもよいと考えており、これは1年前の58%よりも増加している。アメリカやヨーロッパでは電気自動車を前向きにとらえる購買者の割合は20%以下である。

 ゴング氏は、「中国の消費者の電気自動車に対する購買意欲は、常に他国より高い」と述べている。

By JOE McDONALD Associated Press
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP

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