2000冊をバケツリレー、書店の引っ越しのために市民が温かいボランティア 英国

Hugh Venables

 イギリス、サウサンプトンの老舗書店「オクトーバー・ブックス」が、店舗移転に伴い引っ越しのお手伝いを募集したところ、予想を超える数の地元民が集まった。一列に並んだボランティアが、バケツリレーのごとく本を手渡しで新店舗に運び、無事引っ越しを終えたという。世界中で書店の閉店が相次ぐなか、市民が愛すべき書店のために力を合わせたこのニュースは、世界の人々を温かい気持ちにさせた。

◆老舗書店、お金と時間をかけない引っ越しに挑戦
 ガーディアン紙によれば、「オクトーバー・ブックス」はロシア革命(十月革命)から名前を取ったラジカルな共同体書店として1977年に開店した。最初はフェミニスト、LGBT、社会主義者、緑の党など関連の書籍を売る小さな書店だったが、次第にフィクションや児童書、さらにオーガニックフードやフェアトレードについての本も扱うようになった。現在は非営利団体となり、5名の有給社員、ソーシャルメディア上のリーダー、パートタイムのボランティアに支えられて営業している(ニューヨーク・タイムズ紙、以下NYT)。

 旧店舗で15年間営業していたが、家賃の高騰により移転することになった。引っ越しに際し問題となったのが、膨大な数の本の在庫を、お金をかけず、かつ長期に店を閉めることなく、どうやって移動するかということだった。解決策として浮かんだのが、ボランティアを募って流れ作業で運ぶことだった。お手伝い募集の告知を出した店のスタッフは、100人来れば上々と考えていたという(米公共ラジオ網NPR)。

Text by 山川 真智子