週休3日制、会社も従業員もハッピーに? 海外で進むテスト導入

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◆会社側も「デメリットなし」
 従業員にとって好ましい制度であることは予想の範疇だが、驚くべきことに会社へのデメリットが出ていないという。研究チームは、休日の増加による幸福度の向上が生産性を押し上げた、と説明している。生産性増により、休日になった5日目の仕事量をカバーできたとの見解だ。調査では、処理した電話の本数と顧客満足度という指標により、客観的な労働生産性が検証された。従業員の欠勤も減少し、売上の増加にもつながったという。よって、会社にとって経済的損失は発生しないと見られている。

 業務効率の向上は、パーペチュアル・ガーディアン社のケースでも見られる。同社で週休3日制を推進した創業者のバーンズ氏は、従業員たちが家庭での生活をもう1日増やすことができれば、オフィスでの集中力と生産性が向上するのではないかと考えたという。同社での試験導入の結果、この仮説は正しいことが証明された。効率性が向上したため「我々にとってデメリットはない」と言い切り、施策に自信を見せる。

◆すべての地域での導入には困難も
 しかし、現実的には導入が難しいケースも多い。BBCは、イギリスでは約140万人の労働者たちが週7日労働を迫られていると述べ、現実との乖離を指摘する。各労働組合が会社に週休2日の確保を求めているのが現状だ。一方、北欧では試験導入が比較的進んでいる。アイスランドの首都であるレイキャビクの市役所では、2016年の1年間、フルタイムで働く職員の週間労働日数を半分に削減する試みを行って成功している。スウェーデンでも週32時間労働とする同種の実験が行われた。

 ガーディアン紙によると、パーペチュアル・ガーデン社のバーンズ氏は、すべての週で稼働日を4日間とする本格導入へ意欲的だ。ニュージーランドのリーズギャロウェイ雇用関係・職場環境担当相も「非常に興味深い」と述べ、新しいモデルを採用する企業らに協力的な姿勢を示している。

Text by 青葉やまと