「アフリカをスタートアップ大陸に」日本のVCの挑戦 日本企業とコラボも

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 近年アフリカ大陸におけるベンチャー企業の成長が著しい。そんななか、日本からアフリカへ進出したパイオニア精神を持ったベンチャーキャピタルがある。今年5月に設立されたリープフロッグベンチャーズは、ルワンダを活動拠点とし、東アフリカを中心に、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダおよび南アフリカの現地のシードスタートアップ企業を中心とした投資・起業家の育成を行う予定だ。

◆アフリカの「カエル跳び」を支援
 会社名の一部となっている「リープフロッグ」の文字通りの意味は「カエル跳び」だが、段階的な発展を経ず、途中の段階を飛び越し、最先端の技術・サービスが一気に拡がることを指す。例としては、多くの新興国で、固定電話の普及を待たずに携帯電話やスマートフォンが急速に普及したことが挙げられる。

                                                                                                                 

 リープフロッグベンチャーズはシード特化型の出資・インキュベーションを行うサムライインキュベートの子会社として設立された。投資対象となるセクターは物流、金融、ヘルスケア、農業、エネルギーの5分野。既に8月には1号投資としてウガンダの金融インフラ「Save」を提供するEXUUS LTD社に出資。そして同月にはケニアにおいて販売管理 SaaS、「Biasharabot」を提供するBiashara Viral Gains Limitedへ出資を行った。THE BRIDGEによると、9月にはケニア・ナイロビを拠点に、アフリカ現地の製造・流通業向け営業マネジメントシステム「SENRI」を提供するアフリカインキュベーターに、マネックスベンチャーズ、ANRI とともに総額8,000万円を出資した。

 アフリカのベンチャー企業を支援する上で重要な小規模投資、起業家支援、そして日本テクノロジー企業とのコラボレーションがユニークなポイントだ。

◆小規模投資
 新興市場では案件の規模が小さいため、従来のベンチャーキャピタルやプライベートエクイティーなどの投資ファンドが経済的に成り立ち難い。これは、従来投資ファンドマネージャーは、集めたファンド額の約2%を固定報酬として得るからだ。

 そんななかでリープフロッグベンチャーズは約5億円規模のファンドを立ち上げ、プレシードからシードステージの企業を対象に小規模の投資を行っている。リープフロッグベンチャーズのホームページによると、投資金額の上限は5万ドル(約567万円)とされている。8月に投資した2案件とも出資額は5万ドルと報じられている(wee tracker記事1記事2)。

 Digest Africaによると、リープフロッグベンチャーズ社はさらにウガンダの3企業に全額19万ドルとなる出資をする予定だという。大きなファンドでありがちな煩雑な手続きがなく、スピーディーに小規模投資ができる社内インフラが整っていると思われる。

◆起業家育成
 世界で成功しているベンチャーキャピタルは出資金のほかに、投資先企業へのバリューアップが独自の売りとなっている。例としては、ベンチャーキャピタル自らのネットワークを使って、投資先企業の市場開拓などの手助けをするのが挙げられる。これらのサポートは特にスタートアップ企業にとっては重要な付加価値となる。

 さらに、将来のベンチャー企業のパイプライン拡大には、よりいっそうのベンチャー企業の育成が重要だ。特にアフリカ大陸においてはアーリーステージのベンチャー企業への投資が少なく、より高いリスクを取れる投資家や政府・非営利団体が必要である。

 リープフロッグベンチャーズは若い若年層からのアントレプレナー育成を実施し、アフリカが「スタートアップ大陸」になることを目指している。親会社サムライインキュベートの経験と知識を活かした、アフリカの起業家育成が期待される。

◆日本企業とのコラボレーション
 さらにリープフロッグベンチャーズはルワンダ政府と協力し、日本のテクノロジー企業とアフリカのベンチャー企業のコラボレーションを試みているという。この試みは「テック・サンドボックス」と呼ばれている。革新的技術やサービスの事業化を子供が「砂場」(英語でサンドボックス)で遊ぶように試行錯誤することから付けられたと思われる。

 ルワンダは近年「アフリカの奇跡」と呼ばれているほどの経済成長を遂げている。世界銀行のデータによると、ルワンダの国内総生産(GDP)は年間成長率が過去10年で平均7.5%と急成長だ。2000年にはポール・カガメ大統領の下、ICT立国を目指した画期的な国家開発計画「VISION2020」を策定し、さらなる経済開発を積極的に進めている。

 リープフロッグ社のホームページによると、「日本企業向けの新たな社会システム構築に向けた実証実験の場を作り、新しい事業創出にチャレンジする」とのことだが、どんなコラボレーションが生まれるのか興味深い。

 日本企業がアフリカ諸国を従来の国際援助対象国ではなく、ビジネス機会と見る上でとても大事な試みであると思われる。リープフロッグベンチャーズの寺久保拓摩社長は2020年末までに200社に投資したいと語る(Ventureburn)。氏のビジョンに期待がかかる。

Text by 中川沙和

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