ツイッター、陰謀論者ジョーンズ氏のアカウントを一時停止 フェイクニュース対策を検討

Jay Janner/Austin American-Statesman via AP, File

 ツイッターは、右派系陰謀論者であるアレックス・ジョーンズ氏の投稿を1週間禁止した。これを受け、同社CEOであるジャック・ドーシー氏はソーシャルメディアサービスを、フェイクニュースやデマ情報、ヘイトスピーチの拡散を抑制できるものに変えるべく、その対策を講じている。

 ジョーンズ氏は、ウェブサイト『インフォウォーズ』の創設者であり、ツイッターや他の情報メディアを利用してデマ情報を拡散してきた。ツイッターは、同氏を沈黙させようとする他の大手IT企業に同調したが、アカウント停止には抵抗を示してきた。しかし世間からの圧力もあり、この抵抗は結局2週間ともたなかった。

「シリコンバレーの多くの企業が措置を講じた際と同様に、ツイッターは世論の反発の対応に追われているようだ。反撃を受けてから企業が取り締まりを行う傾向を示す実例である」と、南部貧困法律センターのインテリジェンス・プロジェクトで調査アナリストを務めるキーガン・ハンクス氏は述べた。同氏はネット上での極右過激派による宣伝活動に重点的に取り組んでいる。

                                                                                                                 

 ドーシー氏は15日、自分とは異なる見解をタイムラインで広めることが可能な、ツイッターのサービス内容を根底から見直していると、ワシントンポスト紙に語った。この動きは、デマや陰謀説、フェイクニュースに対する取り組みになる可能性がある。また、ユーザーがアクセスする情報は大部分が既に自身が賛同した見解に沿ったものであるという、ネット上の「エコーチャンバー」を削減できる可能性もある(エコーチャンバーは、自分と同じ意見があらゆる方向から返ってくるような閉じたコミュニティで、同じ意見の人々とのコミュニケーションを繰り返すことによって、自分の意見が増幅・強化される現象)。

 ドーシー氏は、「最も重要なことは、ツイッター上でユーザーの行動を方向づける動機を再検討することだ。我々がユーザーにしてほしいと考えている見解をユーザーは示しており、私はもはや、それが正しいとは思わない」と述べた。そして、このコメントは追ってツイッターで正式に表明されると語った。

 さらに、ツイッターは「Bot(ボットアカウント)」と呼ばれる自動アカウントを見分けるための方法についても模索していると述べた。ボットアカウントは、フォロワー数を誇張したり、嫌がらせや根拠のない非難を増幅させたりするためによく使われている(一方で害のない目的のためにも多く使用されている)。

 同社幹部がワシントンポスト紙に語ったところによると、ツイッターは誕生以来の数十年間、ユーザーを惹き付け、ツイートを続けさせるための核心となる動機を見直したことはなかった。「このような多くの問題を解決するには、我々はしばしばポリシーを参照する。しかし、これは問題の表面的な部分に対応しているにすぎないと私は考える」と幹部は述べた。

 今回のジョーンズ氏にまつわる状況は前例となり得る。14日夜、ツイッターは、規定違反によりジョーンズ氏の個人アカウントを1週間「制限」したことを発表した。ジョーンズ氏は投稿やリツイートは出来ないが、ツイッターの閲覧は可能である。同社は、問題のあった投稿ついてのコメントはしないだろう。

 しかし、15日に『インフォウォーズ』のツイッターアカウントに投稿された動画にて、ジョーンズ氏は、ツイッターは自分のアカウントを一時停止にした後、完全に凍結させるかもしれないと語った。ジョーンズ氏が「トランプ大統領はインターネットの検閲について何か対応するべきだ」と語る動画を投稿したことが規定違反になったという。

 15日の夜、ツイッターは『インフォウォーズ』のアカウントも、ジョーンズ氏個人のものと同様、1週間の停止処分とした。同じ動画を投稿したことが原因とみられる。

 有志で『インフォウォーズ』の編集に携わっているポール・ジョセフ・ワトソン氏は、ツイッターからの通知をスクリーンショットし、投稿した。「特定の個人に対する嫌がらせ、もしくはそれを扇動する(要因となる)ことを禁じるツイッターの規定を違反したため、ジョーンズ氏のアカウントが一時的に停止された」という内容である。

 動画は、ジョーンズ氏が投稿したツイッターやペリスコープ(訳注:ツイッターが開発したライブ配信ができるアプリ)において閲覧することはもうできないが、ウェブ上の至る所で掲載されている。その中でジョーンズ氏は、人々は「戦闘用ライフルをベッド脇に揃えておく必要がある。メディアは統制を敷いてだまし討ちを仕掛けてくるので、備えておかなければいけない」と語った。

 ジョーンズ氏が投稿した記事を削除したアップルやユーチューブ、スポティファイと比較すると、ツイッターによる懲罰は軽い。一方でフェイスブックは、同氏のログインを30日間禁止し、『インフォウォーズ』の2つを含め、同氏が管理しているページの4つを閉鎖した。

 ドーシー氏は当初、ジョーンズ氏を封じ込めないという自社の決定を擁護し、ジョーンズ氏は「当社の規定に違反していない」が、違反があった場合は「罰則を課すことになる」とツイートしていた。

「当社はジョーンズ氏についても他のアカウント同様の基準を適用し、短期的な自己満足のための特別扱いはしない。また、新しい陰謀説へと煽り立てることもない」他社がジョーンズ氏に対して措置を講じたことを受け、7日、ドーシー氏はこのようにツイートした。

 ツイッターの明らかな心変わりは、ネット上の言葉が現実生活に深刻な影響をもたらすように、自由気ままな西部開拓時代のような存在だったインターネットの時代に、同社が今もしがみついていることを反映している。

 政治的偏向を示すことなく、また言論の自由を抑制するよりむしろ推進していく方向に舵を取りつつ、時に曖昧にもなり得る規定をいかに実行するか―― ツイッターは他のソーシャルメディア企業とともに今、取り組んでいるところである。

 規制内容や実行手段を決めるとき、それがグレーゾーンである場合は特に、偏見を掲げ、沈黙を保つ保守派とリベラル派の双方と対立する。ユーザーの中には、普段は自分たちの日常生活を、自分の周りにいる人々に対してのみに投稿したい、という人々もいる。言論の自由に対する絶対主義者であっても、ジョーンズ氏のような人はネット上で声高に議論するべきでない、と考える人々もいる。

「どのような対策を行おうと気分を害するユーザー層はいるため、プラットフォームに勝ち目はない」とスタンフォード大学ロースクールのナサニエル・パーシリー教授は述べる。

 調査アナリストのキーガン・ハンクス氏は、ツイッターは明文化された規則がきちんと整備されていないか、もしくはその施行を躊躇しているかのどちらかだ、と述べた。それらを行わず、ネット上での言論の自由についての理想郷を信じているという。しかし「これらのプラットフォームが、トラブルを起こす厄介なユーザーに利用されることを抑制できないのであれば、理想郷は成立しない」と補足した。

By BARBARA ORTUTAY, AP Technology Writer
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP

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