米企業評判ランキング、アマゾン1位 アップル、グーグル急落 明暗分けた要因は?

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 アメリカで著名な市場調査であるハリス世論調査で、もっとも注目される企業1位はアマゾンであることが発表された。その一方で、アップルとグーグルはそれぞれ順位を落とす結果となった。アップルが転落した原因には、あの新製品でアマゾンに差をつけられたことが指摘されている。

◆強いアマゾン、谷間のアップル・グーグル
 米世論調査機関ハリス・ポールは13日、アメリカ企業のブランド力に関する世論調査の結果を発表した。同調査は、昨年の12月11日から今年の1月12日にかけて25,800人のアメリカ成人を対象にして、「もっとも評判の良い・悪い」企業を尋ねるというもの。結果、アマゾンが3年連続で1位となった一方、アップルは5位から29位に、グーグルは8位から28位に転落することとなった。

 世論調査結果に関して、ロイターは、調査を実施したハリス・ポールのCEOジョン・ゲルゼマ氏にインタビューを実施。同氏は有名企業の順位の理由に関してコメントし、アップルとグーグルが順位を落としたのは両社が近年注目に値する製品をリリースしていないから、と指摘している。さらに「グーグルとアップルは、現時点では一種の谷間の時期を迎えています」「わたしたちはまだ自動運転車を見ていませんし、両社が取り組んでいるAIに関してもそのすべてをまだ見ていません」と述べている。また同氏はアマゾンが首位を守った要因として、同社が食料品チェーンを展開するホールフーズを買収したことを挙げている。

 ちなみに今回の調査で順位を上げた有名企業にはテスラがあり、9位から3位になった。同氏によれば、同社の順位が上がった理由は、同社の製品であるロードスターを宇宙に打ち上げたことが評価された、とのこと。

◆近年アップルが犯した失策
 携帯電話ニュース専門サイト『フォーン・アリーナ』は、アップルが順位を落とした理由を考察した記事を掲載。その記事では近年同社が犯した失策が3つ指摘されている。一つめが、iPhone Xの販売戦略である。同スマホは初めてノッチ・デザインを採用したのだが、少なくないユーザがこのデザインを嫌っていた。二つめが、記憶に新しいバッテリー問題である。古いアイフォーンの突然の電源断を防止するために同社は古いアイフォーンの処理速度を意図的に遅くしていたのだが、この問題はユーザの怒りを買うこととなった。三つめが、今年発売されたスマートスピーカー「ホームポッド」の性能である。同スピーカーは同社が提供する定額音楽サービスであるアップル・ミュージックが利用できる一方、競合サービスであるスポティファイをサポートしていなかったため、購入を止めたユーザが多数いた。

 同記事は、今後アップルがブランド・ランキング上位に返り咲くためには、過去の失敗を避けると同時にその失敗から学ぶ必要がある、とコメントしている。

◆アマゾン・エコーの躍進が貢献
 一方USAトゥデイ紙は、アマゾンが首位をキープした理由を考察した記事を掲載。記事は、人工知能Alexaを搭載したスマートスピーカーであるアマゾン・エコーが同社が展開する事業を拡大することに貢献していると指摘する。さらに同社の新たな事業展開として、金融大手JPモルガン・チェースと投資会社バークシャー・ハサウェイと共同で立ち上げた従業員を対象としたヘルスケア事業を挙げている。

 アンドロイド関連製品のニュースを報じるサイト『アンドロイド・ヘッドライン』が同調査を報じた記事でも、アマゾンが好調な理由としてアマゾン・エコーの存在を挙げている。そのうえで、同社が世界で初めて評価総額1兆ドル(約107兆円)の企業になるのではないかと予想しているアナリストが多数いることを伝えた。

Text by 吉本 幸記