女性専用コワーキングスペース、欧米で続々オープン 人気の理由とは?

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 女性をターゲットにした会員制コワーキングスペースがアメリカやイギリスなどにオープンし、人気を博している。月100ドル以上の高額な価格帯が主流だが、入会待ちが8000人に及ぶものもあるなど好調だ。「#MeToo」に代表される女性の意識の高まりが展開を後押ししている。

◆気兼ねない空間で、技術向上とネットワークづくり
 女性専用コワーキングスペースは複数の企業が開設しており、いずれもクリエイティブな女性のサポートを行っている。ビジネス面に限らず、人間関係やウェルネスについて女性同士で相談しあえる環境が特徴だ。

                                                                                                                 

 アメリカ・ミネソタ州の地方紙スター・トリビューンは、女性用のコワーキングスペース『The Coven』を特集している。年間1800ドル(約19万円)のメンバーシップには、フリーランサーや中小企業の経営者など100名以上が加入している。メンバーの目的はネットワークづくりだ。ある会員は、コーヒーショップのように隣の席の男性に話しかけられることがないため、The Covenで育む人間関係は生産的だと話している。

 多様なイベントも特徴の一つだ。同紙が紹介する別のコワーキングスペース『ModernWell』は、健康とライティングに特化したイベントをたびたび開催している。快適な暖炉とヨガスペースを備えた空間にはライターやブロガーたちが集まり、出版などについての知識を研鑽する。

 この他にも英紙ガーディアン(2月23日付)が紹介するロンドンの『AllBright Club』およびアメリカで8000人もの待機者を誇る『Wing』や、CBSが掲載するシカゴの『evolveHer』など、女性向けのオフィスは各地に増えている。

◆女性の職場問題へのアンサー
 一般的な職場で女性は多くのストレスを感じており、このことが女性専用オフィスのニーズを生み出している。ガーディアン紙では、女性の4人に1人が容姿に関するコメントを同僚から受けていると紹介する。これは男性の2倍以上の割合だ。また、イギリスでは半数以上の女性が職場でセクハラを受けた経験があると回答している。『AllBright Club』の共同設立者は、こうした性差別が女性のモチベーションを低下させていると見る。新卒の女性の50%がビジネスにおける成功願望を抱いているにもかかわらず、その割合は2年で16%まで落ち込んでしまうとの調査結果がある。

 これとは対照的に生産性の高いスペースとして、記事ではロンドンの女性専用クラブ『We Heart Mondays』を紹介している。写真家やジャーナリストなどクリエイティブな職業のメンバーが集まり、女性が安全を感じられる空間で生産的に作業にあたる。また、男性がいないことから、ムスリムの女性が頭を覆うヒジャブを付ける必要がなかったり、電話しながら赤ちゃんにミルクをあげられたりといった実利もあるようだ。

 CBSでは、セクハラ被害を糾弾する「#MeToo」運動の高まりも、女性用の環境が注目される理由の一つだと見ている。シカゴ初の『evolveHer』創業者は、育児や人間関係などの悩みを互いに相談できる場所としての機能を意図してスペースを開設した。女性専用コワーキングスペースは、単なるオフィスを超えた役割を果たしている。

◆リラックスできる空間が必要
 女性専用のスペースは性差別的だとの指摘もあるが、多くは男性の排除を目的としたものではない。スター・トリビューン紙が掲載する『The Coven』では、必要であれば男性を会議室に通すことが認められている。同紙の紹介するスペース『ModernWell』では、男性を排除することではなく、(性差別の)戦いから逃れる場所を設けて女性の向上につなげることが狙いだと説明している。

 ガーディアン紙の『AllBright Club』の創業者は、女性の地位について変革が必要だとの立場だが、その理念に理解を示す「素晴らしく、協力的でオープンな男性たち」が存在するとも述べている。ロンドンの『We Heart Mondays』のあるメンバーは、最終的には男女別のオフィスを望んでいるわけではないとしつつ、現状では活力を取り戻して職場に戻るための場所として必要としているとの考えだ。現在は欧米での展開が主流だが、日本でも広まる機運になるだろうか。

Text by 青葉やまと

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