日本企業は第四次産業革命への準備が遅れている デロイト調査

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◆最新技術を競争上の差別化要因と考えていない
「最新技術は競争上の主要な差別化要因と考えるか」と尋ねたところ、日本の経営幹部の回答は「強くそう思う」5%、「そう思う」17%となり、全世界の回答(「強くそう思う」20%、「そう思う」37%)と比べて低い割合であった。日本の経営幹部の78%は「どちらでもない」と様子見の姿勢で、グローバル市場での成長に大きく水をあけられるリスクが浮かび上がった形だ。

◆「労働力の変化」に注目した本質的な議論は尽くされていない
 高齢化や働き方改革を背景に、日本の経営幹部は調査対象国で最も多い85%が、従業員との関係が、契約による一時的、臨時的な雇用に変わる方向にあると見ている(全世界:61%)。また、実に75%以上がロボットなどの自律的なテクノロジーが人に代わる未来を予測している(全世界:50%以下)。

 しかし、人材採用・育成については他のテーマに後回しにされ、経営幹部が議論することは少なく(日本:2%、全世界:17%)、最新テクノロジーの活用についても、技術主導型の変化が組織構造と従業員に及ぼす影響について、計画し対処できると考えている経営幹部はわずか3%(全世界:7%)であった。

 デロイトは本調査を通じて、企業はより能動的にビジネスと社会ニーズの関係を見つめ、最新技術によるブレイクスルーで、顧客、人材、市場、社会へと恩恵をもたらす変革を主導していくことが求められ、それが自社の成長だけでなく、第四次産業革命による、より平等で安定した世界の創造にもつながると指摘している。

Text by 酒田 宗一