シリコンバレー去る中国人エリート 母国の「ブラック」環境に身を投じる理由

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 アメリカの大学を卒業した学生や、シリコンバレーの一流IT企業に勤める中国人たちが、活躍の場を求め中国に戻るケースが増えている。アリババやテンセントなどの大企業からAI関連の新興ビジネスまで、中国企業は飛躍的に成長しており、若い中国人エリートの興味は、シリコンバレーから母国に移りつつある。

◆成長する中国IT企業。働くなら母国
 ブルームバーグは、かつて中国人留学生は大学を卒業すると、海外での一流企業の職と市民権を求めたが、今はキャリア構築のチャンスを母国に求めていると指摘する。2017年の調査では、帰国後の就職先は、金融を抜いてテック系が1位となり15.5%を占め、2015年から10%アップしている。

 かつてアメリカの大手IT企業で働くことは、中国人にとって比類ないステータスだったという。しかしアリババやテンセントなどがアマゾンやフェイスブックと肩を並べ、新興企業の伸びも著しい今、母国の企業でも同等のステータスを得ることは可能だ。中国企業の世界進出と、人工知能や機械学習などの次世代技術を支配するという中国政府の目標を牽引するのは、アメリカで学んだ中国生まれの人材だとブルームバーグは見ている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、過去20年にわたってシリコンバレーをお手本にし、その技術とビジネスモデルを真似てきたのが中国だと説明する。着実に中国のインターネット産業は競争力をつけ、自信もますます高まっているという。元グーグルのエグゼクティブで、中国ベンチャー企業のCEO李開復氏は、次の重要なフロンティアとされる人工知能の分野において、中国はアメリカと互角に戦うだけの人材と競争力を持っていると同紙に語っている。

Text by 山川 真智子