東京-サンフランシスコが6時間以内に? JALが「超音速機」開発に出資

BOOM TECHNOLOGY

 超音速旅客機の復活へ、世界的な期待が募っている。コンコルドの引退とともに姿を消した民間の超音速旅客機だが、アメリカ・コロラド州のスタートアップ企業であるブーム・テクノロジー社が、新型機を開発中だ。今回、日本航空(JAL)が同社への出資と技術協力を行うことが明らかになった。ガーディアン紙によると、東京・サンフランシスコ間を現行の11時間の半分程度で結び、費用はビジネスクラス程度に抑えられる見込みだという。

◆資金と技術面で協力
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)によると、ブーム社が目下開発中のこの新型機には、業界の興味が集中しているという。現役を退いたコンコルドよりも10%高速になる予定で、2023年の就航に向けて開発中だ。同社は現行の所用時間を半減するという大胆な目標を示している。鋭いノーズや後退翼など、デザインはジェット戦闘機に似た形になるようだ。1機あたりの座席数は48席強となる。

 JALが1000万ドル(約11億円)の開発資金を提供する見返りとして、ブーム社はJALに対し20機分の優先発注枠を確保する。記事はJALを世界180の空港に200機を飛ばす一大企業と位置付けており、今回の提携はアジア市場進出への強力な後押しになるとも述べている。

 JALの協力は資金提供に留まらない。開発工程のうち、デザインと旅客体験の向上に協力するようだ(地元紙デンバー・ポスト)。

 ブルームバーグの記事(12月5日)は、ブーム社が「10年以上前にコンコルドと共に終焉を迎えた、超高速の旅行の復活を目指している」と表現する。JALの協力により、より快適でより高速な移動は実現するだろうか。

◆ヴァージン・グループなど世界が興味
 実はブーム社に協力するのは、JALだけではない。ブルームバーグによると、ヴァージン航空の宇宙開発部門であるヴァージン・ギャラクティックの子会社が、エンジニアリングや飛行テストなどの面で技術協力する。

 デンバー・ポスト紙によると、ヴァージン社の協力に対し、新型機を1機あたり2億ドルで購入する権利が10機分与えられたという。ブーム社のショールCEOは、今年6月の時点で、すでに世界各地の企業から計76機を受注したことを明らかにしている。桁外れのスピードを実現する新型機だけに、航空業界の注目が集まっている。

◆コンコルドの影
 超音速旅客機の話題で避けて通れないのが、すでに運行を停止してしまったコンコルドのイメージだ。ブルームバーグは、景気後退とメンテナンス費用の高騰を原因として、コンコルドが導入から約30年後の2003年に現役を退いていることを振り返る。騒音も問題となっていた。

 では、JALが出資した今回の開発は、果たして現実的なのだろうか? 同記事では、NASA、GE、ブーム社などの努力により、現在では商用化の新技術が確立したとしている。

 WSJも、従来は高速飛行によるソニックブームが運行の妨げとなっていたが、ソニックブームを著しく低減するNASAの研究や規制緩和のおかげで、近年超音速旅行への関心が高まっていると解説する。

 資金面でも見通しは明るい。シリコンバレーの著名ベンチャーキャピタル「Yコンビネータ」などから3300万ドル(約37億円)を調達するなど、ブーム社にはすでに航空機を建造するに十分な資金力があると見ている(デンバー・ポスト紙)。

 ブーム社CEOのショール氏は、コンコルドに乗ることができなかった悲しみを胸に事業をスタートしたとのことだ(ガーディアン紙)。就航中の搭乗を逃した向きにとって、新型機は絶好の機会だろう。JALとの提携により、超音速旅客機が日本の空に舞う日は来るだろうか。

Text by 青葉やまと