日本人の仕事の精度は高いが、無駄な会議が多い 日本で働く外国人の意見

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 人財サービス企業のアデコは、日本の企業に常勤として勤務するホワイトカラーの外国人財300名を対象に、日本で働くこと、現在の就労環境、また日本人の働き方についてどのように考えているかに関する調査を実施した。

 国内経済を活性化するためには、多様な価値観や経験を持つ人財を活用してイノベーションを促進することの重要性が認識されており、高い技術や能力を有する「高度外国人財」の活用は解決策のひとつとして挙げられている。そのような人財をどのようにして日本へ誘致するかが、国や企業にとって課題だ。日本政府は2012年より、高度な専門性を持つ外国人財に対し、長期在留期間の延長や永住権の付与などの在留資格の見直しを進めているが、外国から優秀な人財を誘致するために、より一層の工夫が求められているという。

◆就労環境には満足しており、今後も日本の企業で働きたいけれども
 本調査によると、日本で常勤として働くホワイトカラーの外国人財の約8割が、「現在の就労環境に満足しており、今後も日本の企業で働きたい」と回答する一方、人事や評価の仕組みには不満があるようだ。

 回答者の77.0%が「現在の就労環境に満足している」、84.0%が「今後も日本の企業で働きたい」と回答した。満足している理由としてもっとも多かったのは「業務内容」(60.6%)、次に「同僚との人間関係」(57.1%)が挙げられた。一方、「人事制度」や「評価制度」に満足していると回答したのは3割未満で、人事や評価の仕組みに対する不満があることも明らかになった。

◆日本人同僚の仕事ぶりは、精度は高いが無駄な会議が多い
 日本で働く外国人財は、同僚である日本人の働き方について、「仕事の精度が高い」(80.3%)、「人財の指導や育成に長けている」(61.3%)と評価する一方で、「無駄な会議が多い」(71.7%)、「時間の管理が上手くない」(56.7%)と考えているようだ。

 また、回答者の約7割が、外国人であることが理由で機会を与えられなかったり、日本独自の習慣に戸惑った経験があると回答した。戸惑ったことがある日本独自の習慣の具体例としては、「上下関係」や「年功序列」の厳しさをはじめとする組織文化、「会議が長い」「残業が多い」などの労働時間に関すること、「報・連・相」や「根回し」といった細かいコミュニケーションが求められる業務プロセス、必ずしも生産性やパフォーマンスで評価されない「評価基準のわかりにくさ」などが多く挙げられた。

◆外国人財が日本で働き始めたきっかけ、長く働くために企業に必要なこと
 外国人が日本で働きはじめた動機は、仕事の種類や給与水準ではなく、日本という国自体への興味が大きいようだ。

 日本で働こうと思った理由を訊ねたところ、6割以上が「住みやすいから」(62.3%)と「日本に興味があるから」(60.7%)を挙げた。また、外国人財が日本の企業で長く働くため、企業がどんなことに取り組むべきかを訊ねたところ、「外国文化に対する理解の向上」を挙げた回答者が62.7%ともっとも多く、次いで「より良いワークライフバランスへのサポート」(62.3%)、「日本人・外国人従業員間の区別の撤廃」(60.0%)となった。

Text by 酒田 宗一