海外で働く人は糖尿病など慢性疾患に注意 感染症よりハイリスクにも

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 11月14日の世界糖尿病デーにあわせ、インターナショナルSOSが海外出張者および駐在員が自身の糖尿病を管理する重要性を喚起している。糖尿病などの慢性疾患を持つ移動の多いモバイルワーカーは、渡航に伴うさまざまな要因により、継続的な健康管理を中断しがちだ。慢性疾患の管理を怠ると、一部のビジネストラベラーにとって感染症よりも大きなリスクとなる可能性があるという。

 世界界保健機構(WHO)では、世界の18歳以上の人口のうち8.5%が糖尿病を患っていると推定しおり、現在およそ4億1500万人が糖尿病であり、2040年までにこの数は6億4200万人に達すると予想されている。こうした状況に対し、インターナショナルSOSのメディカルディレクターであるアイリーン・ライ医師は、次のように語っている。

「渡航者が海外での医療リスクを考慮する際に多くの場合、外国特有の感染症について注目します。もちろんこれは考慮しなければならない重大なリスクですが、より一般的な問題は、糖尿病など渡航者が抱えている慢性疾患です。 たとえば時差が大きくなる渡航では、食事や薬の服用のスケジュールが複雑になります。慣れない食べ物があったり、服用薬や生活必需品が国境で没収されたりする可能性もあります。海外での服用薬の紛失や不足は、自国にいる時ほど簡単に解決できない問題となる可能性があります。薬の名前が違う、適切に保管されていない、期限切れである、さらには偽造品である場合もあります」

 インターナショナルSOSは、糖尿病持つ渡航者に対して、次のアドバイスを提供している。

・渡航前、十分な時間をとって医療機関を訪ね、旅程と活動について話し合う。
・糖尿病の状態が安定していて、適切に管理されていることを確認する。
・渡航のための十分な(不測の事態に備えて少し多目に)服用薬を準備する。服用薬は元の容器に入れ、内容物と自分の名前が明確にわかるラベルを張る。
・自身の健康状態、服用薬、および必要な機器を示す書類を入手し、処方箋のコピーを持参する。
・自宅から離れているときでも、健康的な食事とアクティブなライフスタイルを維持する。

 糖尿病などの慢性疾患を抱える人、またそうした慢性疾患を抱える人と一緒に渡航をする人は、無事に帰国をするためにこうしたアドバイスに従って十分準備をして健康管理を行なっていく必要があるだろう。

Text by 酒田 宗一