資産運用の助けとなる友人からの「プレッシャー」 上手に活用するコツとは?

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【AP】 健康上の目標のためにトレーニングを行う時には、うまくいった日には褒めてくれて、うまくいかない日には激励してくれるような、苦楽を共にする相棒が一番の宝になる。

 同様に、資産上の目標に向かって努力している時も友人は大きな助けとなるだろう。研究結果によれば、仲間は退職までの貯金額やその時期に影響を与え、時には税金の支払いを強く促したりすることが明らかになっている。

 エール大学の経済学者であり、インセンティブ(目標達成のための刺激・誘引)やアカウンタビリティ(結果に対する説明責任)についての研究を行ってきたディーン・カーラン氏によると、人は見返りが少ないとそれまでの習慣を変えようとしないという。目標達成のために金銭や信望をつぎ込むことで、失敗した時の痛手が大きくなることがその動機となっている、と彼は言う。

 これこそがカーラン氏と2人の同僚が目標設定サイトの「Stickk.com」を立ち上げた理由であり、そこでは資産運用などといった人々の目標を達成する手助けのためにピアサポートを行なっている。Stickkのユーザー分析によると、「審判」をつけることで人は気持ちを正直に保つことができ、成功する確率も倍増するという。「Lifetik」や「Coach.me」のようなアプリも同様に、他人と目標設定を共有できる機能を提供している。

◆仲間からモチベーションを
 逆に、仲間の金銭感覚は、それがまっとうな選択かどうかとは関係なく、あなたの感覚を徐々にむしばんでしまうこともある。

 全米経済研究所が2011年に発表した研究の一貫として、製造会社で働く従業員の中で、アメリカの確定拠出個人年金制度である「401k」の申請を行わなかった者、または会社に十分貢献し企業負担の対象となった者に、その「401k」の申請を促す内容の書類が送られた。また、この書類には、他の多くの従業員がいかに資産運営において有利な行動を取っていたか、ということが書かれていたという。

 どちらのケースでも、401kへ申請を行ったり、企業負担金の控除を得るべく会社に貢献する、という従業員の数は少なかった。研究者らによると、彼らは他の従業員と比較されて気持ちが萎えてしまったのだという。

 「同僚が資産運用における確かな選択をしたとしても、気持ちをしっかりと持つように」と、ロサンゼルスに拠点を構えるアバクス・ウェルスパートナーで認定フィナンシャルプランナーを務めるララ・ラム氏は言う。「逆に、それを何かを始めるためのモチベーションに変えるべきだ。前に進んでいるという感覚が、さらにモチベーションを高める」。

 仲間が逆のことをしていたらどうだろうかーあなたが到底買えないようなものにお金をつぎ込んでいたら? ラム氏は、衝動を抑え、長期的な目標に目を向けるべきだと言う。

 今日の贅沢が明日の目標に与える影響を考えてみよう、と彼女は言う。

 以下に、金銭的な決断をスマートに行うために、仲間からのサポートを上手に活用するコツを紹介する。

◆お金について話す
 「アメリカでは、資産状況について話すことに対して、羞恥心や文化的な感受性が多く見受けられる」と、コネチカット州のニューヘイブンに拠点を構える非営利機関、IPA(Innovations for Poverty Action)のフィナンシャル・インクルージョン・プログラムのディレクターを務めるレベッカ・ラウズ氏は言う。

 8万ドル(約874万円)の借金を完済した成功談を「Money Under 30」という自身のブログに書き記したデビッド・ウェリバー氏によると、借金は特に難しい問題だという。また、友人や家族にそのことを話すことでやりきれない気持ちを感じながらも、ネット上のコミュニティが大きな支えになった、と彼は語る。

 また彼は、「借金の返済は減量によく似ている。他の人々の体験談を読むことで、返済までの階段を日々上り続けるモチベーションとなった」と語っている。

 ウェリバー氏が教えるコツ:たとえ辛くても愛する人に資産上の目標を話すこと。そうすれば、前に進むために役に立つアイデアやサポートを得ることができるだろう。

◆厳しい愛を与え、受け取る
 友人や家族の中で、金銭的な習慣に対して正直な意見を言ってくれる人を探すことーそして、それを受けとめる心構えをすることだ。

 「人はお金のこととなると、審判を下されるかのような気持ちから警戒心が強まるものだが、完璧な人間などいないのだ」とウェリバー氏は言う。

 もしサポートする側の立場ならば、思いやりを持って接し、その上で厳しく愛を伝えることだ、と彼は言う。

◆信頼しつつ、検証する
 友人や家族はモチベーションのためには素晴らしい存在である一方、彼らの資産上のアドバイスに頼りすぎるべきではない。

 退職に備えて貯金したり、子供のために大学進学資金を貯蓄するといった基本的なアドバイスを受けること自体は良いことだ、とニューヨークに拠点を構えるライタイアメント・ウェルス・パートナーで認定フィナンシャル・プランナーを務めるバーク・セストック氏は言う。ただ、投資や退職後の寄付など、より個人的なことに対する決断は、自分自身で調べて行うことを勧めている。

 セストック氏はまた、両親や友人からの資産運営上のアドバイスを信頼しつつ、専門的な情報源から学んだことで検証することが大切だと言う。

 例えば、消費者金融保護団体では金融商品や消費者の権利に関する情報を提供している。また、予算組みや借金の管理などについて、地元の非営利のカウンセラーに無料で相談することもできる。

本記事は、個人金融ウェブサイト「NerdWallet」により、The Associated Pressに寄稿された記事です。

By AMRITA JAYAKUMAR
Translated by Conyac

Text by AP