職場での恋愛関係における境界はどこ?
著:Paul Harpur(クイーンズランド大学 Senior Lecturer, TC Beirne School of Law)
数週間前、2つの有名なニュース記事で、職場でのロマンスが犠牲の大きい公的スキャンダルへと進展したことが取り沙汰された。 セブン・ウェスト・メディアの最高経営責任者(CEO)であるティム・ワーナー氏と、元役員アシスタントのアンバー・ハリソンとのロマンスは、醜い法的喧嘩やいじめを引き起こし、契約、守秘義務違反の訴訟につながり、巨大企業が自らを守るための権力の行使へとつながった。 最近では、AFLの男性幹部2人が部下の女性職員との恋愛で公に恥をさらし、その後辞任した。
どちらのケースの報道も、同僚間の性的な関係が異常であることを示唆している。 しかし実はその反対だった。職場は多くの関係が始まる場所である。Relationships Australiaによると、35〜50歳の年齢層において、40%の人が職場でパートナーと巡り合った。
この現実と職場の関係に対する公衆の態度との間のギャップは、仕事と個人的な問題の境界に関する高いレベルの不安と混乱を反映している。 事実、ロマンスは職場で火が付くが、雇用主や従業員はこれらの状況を管理することができる。
◆職場での関係に関する法律
従業員の職場外行動を規制するための雇用主の権利は、依然として争点となっている法的問題である。 しかし、明らかなことが一つある。関係が起こった場所が物事を大きく左右するのだ。
1つの例は、2015年にオーストラリアのフェア・ワーク委員会に提出されたKeenan対Leighton Boral Amey合弁会社のケースである。委員会は、重大な事件が、職場の時間的および物理的境界を超えて発生したため、「異常な」行動を起こした従業員は不公平に解雇されたと判断した。
行為が職場で発生した場合、雇用主はセクシャルハラスメントに関する違反行為に対して代理責任を負うことになる。 この場合の主な要因は、雇用主が従業員に対し、職務上の方針に従うよう指導したことであった。 だから従業員たちは、その場を離れ、職場の外で飲酒を続けることにしたのだ。
雇用主は、従業員の行動に関するルールを最初に設定していなければ、誤った行動をとっていると思われる従業員に対して訴訟を起こす権利を主張することは期待できない。 だから職場には関係に関する明確な方針があるのだ。
これの良い例は、オーストラリア公共サービス委員会の価値観と行動規範の関連部分に記載されている。 これは、許容できる職場行動の例を概説すると同時に、「仕事に関連する」ものを定義し、雇用主と従業員それぞれの責任を明確に示している。
雇用主にこういった方針がない場合、潜在的な利益相反が生じる可能性がある。 例えば、2人の労働者が恋愛関係にあり、一方が他方の業績を評価しているか、または他方の昇進を決定している場合、偏見があるという明確なケースがある。 これは、不正確な評価をもたらす可能性があり、他の労働者は不快感を感じるかもしれない。
関係に関するワークポリシーの行き詰まりは、不履行へとつながる。 従業員が同僚との関係を明らかにしなかったことを理由に従業員を解雇することができるかどうかは、合法的に決められているわけではないが、従業員がそれに異議を唱えたときに正直でなければ、解雇の理由になる可能性がある。
Mihalopoulos対Westpac Banking Corporationのフェア・ワーク委員会のケースでは、雇用主の方針では従業員に従業員間の関係を開示するよう要求していた。 当の従業員は関係について雇用主から尋ねられたときに、嘘をついた。
フェア・ワーク委員会の調査によると、従業員が関係を明らかにしなかったことが、2回の情事について彼がマネージャーに嘘をついたその不誠実と相まって、彼が解雇される正当な理由となった。
だから従業員が同僚との関係を考える上で最善のアプローチは、恋愛関係への進展を職場から切り離すことである。 職場外で合法であるとみなされる行為でも、仕事の場面で起こると実際はさまざまな法律の対象となるのだから。
This article was originally published on The Conversation. Read the original article.
Translated by yoppo