人工知能ワトソン、“世界最難関”日本語をマスターできるか? IBMとソフトバンクが提携

 日本IBMとソフトバンクテレコムは10日、人工知能「ワトソン(Watson)」の開発と日本市場の導入で提携したことを発表した。

 ワトソンは、IBMが開発したコグニティブ(認知的)・コンピューティング・システムだ。これは、「言語を解析したり、感情移入できるような方法で交流したり、膨大なデータの中から重要な情報を引き出したりなど、人間のようなタスクを行うことができるマシーン」のことだ(NYT)。ワトソンは、米国の人気番組で人間のクイズ王を破ったことで知られる。

 ワトソンの日本における課題や未来について、海外メディアが分析している。

◆ワトソンは大量のテキストを吸収し、日本語を学ぶ
 ワトソンは、英語をベースとして開発され、学習を行ってきた。日本市場導入のためには、日本語を学ぶ必要があるが、これはかなり難しいとフォーブスは論じる。日本語は、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットを用いる。さらに、文法構造は英語とかなり異なる。世界で最も複雑な言語の1つと言われる日本語に合わせた、独自の構文解析を必要とするのだ。

 ソフトバンクとの提携により、ワトソンは、古典の詩歌から辞書・百科事典、ブログの投稿やツイートまで、すべての日本語のテキストを取り込み、日本語を学ぶ。25万語の言葉を取得し、1万の文章に変換させる作業を行い、その上で日本人による修正のフィードバックを行うという。ワシントン・ポスト(WP)紙は、こうした学習により、ワトソンは難業を果たすことができるだろう、とみている。

◆ソフトバンクの4つの役割
 フォーブスは、今回の提携におけるソフトバンクの役割を4つ挙げている。

・ソフトバンク社内でのヘルプデスクとして用いるという「ユーザー」
・ワトソンをベースとしたサービスを一般ユーザーに販売する「販売店」
・さまざまなビジネスパートナーとともにワトソンのエコシステムを構築するという「ディストリビューター」
・他の日本企業の施設で、ワトソンをプラットフォームサービスとして提供するという「ホスト」

◆ロボットへの搭載でさらなる可能性も広がる
 さらに将来的には、次世代ロボットへの搭載による展開も考えられる。NYT紙は、学校の授業を補助する教師アシスタントや、患者のケアを支援する病院ロボットを、可能性として挙げている。

 またWP紙によれば、IBMは、人間のように学ぶ「コグニティブ・コンピューティング」が、次世代のコンピューティングを定義付けるだろうと、かなりの自信を持っているようだ。IBMは、膨大な情報すべてを消化するマシーンによって、人間の時間と紙の消費の多くを節約できる、と確信しているようだ。

Text by NewSphere 編集部