日本、米シェールガス輸入へ 原発再稼働議論にも影響か? 海外メディア注目

 10日、アメリカのエネルギー省は、三菱商事や三井物産などが参画する液化天然ガス(LNG)の対日輸出プロジェクト「キャメロン」(ルイジアナ州)ほかの輸出許可を最終承認した。2018年に商業生産開始予定で、日本の米国産シェールガスの輸入が本格的に始まることになる。

【米産シェールガスが届く頃には原発再稼働?】
 環境・エネルギー政策情報サイト『E&E』は、日本で原子炉再稼働の声が高まったら、いつまでLNG需要があるだろうか、と述べる。

 震災前と比べて、たしかにガス需要は6-70%増加している。だが、アメリカ上院エネルギー天然資源委員会の委員長であるマリー・ランドリュー上院議員が再選をかけて締結に努力した、キャメロンからのLNG受け入れ契約の期間は20年、LNGが届くのは早くて2018年である。日本の原発が再稼働すれば、当然、LNGへの需要は低下するだろう。

 『E&E』によれば本年3月に開催されたエネルギー・コンサルティング会社IHSセラのイベントで、日本のある政府高官が、国内にある原子炉の3分の1にあたる17基を2年以内に再稼働させ、高価なLNG等の輸入は減らしたい、と語ったという。

【LNGの先物取引市場】
 折しも12日には、東京商品取引所とシンガポールの仲介業者、ギンガ・ペトロリアムが合弁で設立した「ジャパンOTCエクスチェンジ(JOE)」がLNGの先物取引市場を開設した。

 フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は、東日本大震災によって原発に替わる発電用エネルギー原料を大量に輸入し始めたために高騰した価格を崩そうとした日本が、LNG輸入の「取引ハブ」(貿易中継地とそこで決まる基準価格の両方の意味がある)を始動したと報じている。

 これにより、東京電力や三菱商事といった大手需要家によるNDF(ノンデリバラブル・フォワード、供給の伴わない現金による決済)取引が可能になるという。

 先物取引市場による基準価格を設定することで、カタール、マレーシア、ロシアといった供給国に圧力をかけ、原油価格と連動した柔軟な価格設定による長期契約が可能になるとFT紙は見る。

【先物取引市場に懐疑的な見方も】
 一方、インタファクス通信は、日本に開設される先物市場は、実際の取引ハブにはなりそうもないとの見方を伝えている。

 プライスウォーターハウスクーパースのドレル・ヨシフ氏は、最低取引単位の定めもあるようだが、この先物市場が基準価格設定以外に何か行うか疑わしいと述べる。

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Text by NewSphere 編集部