日本メガソーラー建設に中国企業が協力へ…世界を席巻する中国製パネル、欧米では問題視も

 中国のインリーグリーンエナジー社が日本でのメガソーラー建設への協力に合意した。これを受けてインリーの株価は3.5%上昇。一方、米商務省は中国企業の公正性を調査中で、市場には懸念が広がっている。各国のソーラー市場を巡る事情を海外メディアが報じた。

【32メガワットのメガソーラー建設】
 世界大手、中国のインリーグリーンエナジー社が岡山県久米郡南久米町でのメガソーラー事業においてソーラーパネルを提供することに合意した。2015年1月から12月までの間に約108,000枚のYGEセルシリーズを提供することになる。事業への投資はGEエナジー・フィナンシャルサービス、開発・運営はパシフィコ・エナジーが務める。建設予定のメガソーラーは年間37,000,000キロワットを発電することになる見通しだ。

『Energy Business Review』によると、パシフィコ・エナジーの金當一臣代表取締役社長は、「プロジェクトの要となるのは質の高い太陽電池 で、インリーソーラーは最高の選択だと信じている」と述べた。またインリーグリーンエナジーのLiansheng Miao最高経営責任者は、「パシフィコ・エナジーとの初のプロジェクトを通して、両社の関係が強く長く続くことに期待する」、「市場拡大を続ける日本のパートナーとの関係を深めることも望んでいる」と述べた。
 
【日本のソーラー市場】
 フォーブス誌によれば、2011年福島第一原発の災害以降、日本政府による再生可能エネルギーへの寛大な助成金によって日本のソーラー市場は最盛期を迎え、日本企業も世界でのビジネスを視野に入れている。

 日本の電気メーカー安川電機はマサチューセッツを拠点とする米有力企業、ソレクトリア・リニューアブルズの買収を計画している。実現すればアメリカ市場においての地盤となる。また日本の昭和シェルが所有するソーラーフロンティアは、2013年度収益の90%以上が日本国内での売上だった。同社はニューヨークに新しい工場を建設することを計画している。現在4件目となる150メガワットの工場を日本国内に建設中で、今後世界での建設を視野に入れたデザインになっている。

 インリー社の日本顧客ベースは2013年四半期で4倍に増えた、とマーケットウォッチは報じている。特に2011年の震災以降、日本のソーラー市場は拡大している。一方で日本が大きな市場であることには違いないが、アメリカや中国の主要な市場に比べると規模が小さいという

【アメリカの市場における中国メーカーへの懸念】
 現在中国は、大規模な工場建設が可能であること、また競合より高値を付けることができるため、世界のソーラー製造業を独占している、とフォーブス誌は報じる。

 米政府は先月、規制の抜け穴をふさぐ目的で中国製の太陽光パネルに対する新たな関税導入を仮決定した。中国企業は中国政府から多大な財政支援を受けており、米政府は中国で製造された太陽光パネルに19~35%の反補助金関税を課したい意向を示している。金曜日には、中国メーカーの製品価格設定が公正な市場価格に基づくものであったかに対する、米商務省の仮判決が下る。中国製の太陽光パネルにさらなる関税が課せられる可能性が出てくる。

 また、昨年にはEUと、ダンピング問題での争いがあった。最終措置として、最終輸入価格などを設定する「約束価格」をEUが受け入れることが確認されたことをジェトロは伝えている。ジェトロでは、EU産業界から依然不満の声が上がっていることも伝えた。

フォーブス誌は、高額の関税が課せられることになれば、中国製品の売上が落ちることになるとの見方を示している。既に中国は、関税の課せられない中央・南アメリカ市場へ進出し始めているという。これを受けて、アメリカ国内では太陽光パネルの価格が上昇することが懸念される。

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Text by NewSphere 編集部