大手町に湧いた温泉 外国人観光客へアピール期待 “灰色の退屈なエリア”イメージ払拭なるか

 三菱地所開発株式会社は15日、大手町で天然温泉の採掘に成功したと発表した。地下1.5kmまで掘削しての湧出で、水質は疲労回復や血流の上昇、乾燥肌を防ぐ等の効果があると考えられる。

【「大手町」に湧いた温泉】
 三菱地所は31階建てのオフィス・タワーを建設し、その地下にスパ設備の備わったフィットネス・センターを設置する計画だ。また、隣接して84室を備えた18階建ての和風ホテルを建設し、高級ホテルの老舗である星野リゾ-トが運営にあたるという。完成は2016年の予定だ。

 「大手町」について、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ紙)は、皇居に隣接し、その地名は江戸城の門にちなむ。また、日本の金融街の一角を形成しているが、「光と遊び心にあふれたデザインのハイテクワンダーランド」という東京のイメージと裏腹に「灰色のビルが立ち並ぶ退屈な地域」だと説明する。

 ブルームバーグは、この地域は日本の最も高額なビジネス街の一部で、近隣にはグローバルな金融会社が軒を連ね、Aグレードのビルの平均賃貸料は東京全体より32%高いと伝えている。WSJ紙は、経済政策による企業の拡大に伴ってオフィスの需要が高まり、東京の不動産市場を蘇らせたとしている。

【温泉を好む日本文化】
 ブルームバーグは、日本政府観光局の言葉を引いて「古代より日本人は温泉を好み、温泉につかることは日本の文化とライフスタイルの一部となっている」と伝えている。

 WSJ紙は、「多くの日本人が休日や休暇には東京から離れて温泉地に行くのを好む」が、「オフィスから数秒の距離の温泉は、地区の多忙なサラリーマン/ウーマンにアピールするだろう」と見ている。また、2020年の東京オリンピックに伴う海外からの観光客に対して日本の文化・伝統をアピールする用途、あるいは自然災害の際のインフラとしての役割にも触れている。

【外国人向け「温泉」指南】
 外国人にとってのより具体的な「温泉」像は、日本旅行と文化についてのガイドサイト『Japan Talk』が「日本の温泉に行く前に知っておくべき7つのこと」と題した記事(3月12日付)に見られる。温泉に行く前に覚えるべきエチケットとして、以下の7点が挙げられている。

1. 靴を脱ぐ

2. 正しい脱衣所を使う
 ―女性は赤い暖簾、男性は青い暖簾

3. 服を脱ぐ
 ―持ち込んでいいのは小さなタオルのみ

4. まずシャワーを浴びる

5. タオルを頭に載せる
 ―温泉のプロは頭に載せてバランスを取る

6. 詳細
 ―温泉ごとに少々違いがあり、日本語で壁に貼ってある

7. 印象付けることの重要性
 ―日本人は温泉を誇りに思い、外国人客を歓迎するが、1990年代に北海道で酔った船員が問題を起こし、温泉地で外国人の入浴が禁止されたことがある。これらのエチケットを守ることで、地元民に良い印象を与え、良い思い出を持ち帰ることができる。

 同サイトによると、温泉に入ることは「日本でするべき102の事柄」の第4位にランキングされている。

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Text by NewSphere 編集部