「2020年に女性管理職30%」は急すぎ? 日産ゴーン社長、政府目標に疑問、独自目標掲げる

 2020年までに指導的地位に占める女性の割合を30%とする政府目標について、日産自動車のカルロス・ゴーン社長が17日、「野心的過ぎる」との見方を示した。

 同氏は日本外国特派員協会での会見で、「社会での女性の地位向上に向けた日本政府の取り組みを完全に理解・支持する」としつつ、目標達成を急げば「非生産的になる」おそれを指摘した。

【日本の女性労働力は他の発展国と比べはるかに低い】
 この政府目標は安倍首相が1月、世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)で語ったもの。日本で高齢化が急速に進む中、減少する労働力を補いたい考えだ。

 日本における女性の労働力は発展国の基準からすると非常に低い。経済協力開発機構によると、上場している日本企業の女性役員の割合は3.9%で、アメリカは12%、フランスは18%だとAP通信は報じた。

 また、世界経済フォーラムは昨年度の世界男女格差報告で日本を105位とした。1位はアイスランドでスカンジナビア諸国が上位を独占した。ドイツは14位、アメリカは23位だったと同メディアは報じている。

【自動車メーカーにとって女性の視点は重要】
 ゴーン社長は日本では進歩的な経営者の1人で、長く女性の管理職登用を重視してきた。

 同氏は会見で「現在、管理職の女性が7%を占める日産にとって、2017年3月までに10%の目標がより現実的だ」と語った。

 日産の女性管理職の数は日本の自動車メーカーの中でははるかに高い。だが同社に女性取締役はいない。ホンダは女性管理職がたった1%だが、今年の初めに女性を初めて取締役に任命した。トヨタにも女性取締役はいない。

 ゴーン氏は会見で「日産は女性を重要な車購入者とみており、座席位置や内装、安全機能などで女性の視点は開発中のモデルで重要だ」と強調。だが事を急ぎたくない考えだ。

 AP通信は、日本の首相の就任年数は短いため安倍首相がこの数値目標を達成する責任がなくなる可能性があると、ゴーン氏との立場の違いを指摘した。

【政界から否定、財界から賛成の意見】
 経団連は包括的な目標設定に反対しており、企業は各自の戦略で女性の昇進を促進すべきとの見方を示している。

 甘利明経済再生担当相は最近ロイターに対し、適任者がいないのに強制すべきでないと語ったという。

 一方、日本の財界で最も上級の女性幹部の1人、大和証券グループ本社の田代桂子取締役は、最近ロイターのインタビューに対し「目標はある程度必要だと思う」とし、これにより企業間で議論が高まることを期待しているとの見方を示したという。

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Text by NewSphere 編集部