経団連27社、女性登用に数値目標 安倍首相「ウーマノミクス」本格化?海外紙が指摘する課題とは

 安倍首相は、アベノミクス成長戦略の一環として、女性の活用を掲げている。昨年の国連総会では、「女性が輝く社会を作る」と演説。今年7月に訪問したオーストラリアでも、「男性中心社会からの脱却をめざし、女性の活用を進める」と述べた。

 日本の動きに海外メディアも注目している。

【成長戦略】
 タイム誌は、安倍首相が「ウーマノミクス」を激賞していることを紹介し、首相の考えはここに端を発すると報じている。ウーマノミクスとは、女性の就労拡大により日本経済を発展させるという考えで、キャシー松井氏(ゴールドマン・サックス証券株式会社マネージング・ディレクター)が1999年に提唱した。

 安倍首相は、女性の就業率(25歳~44歳)を、2020年までに73%に挙げるとしている(昨年は68%)。さらに、企業などで指導的な地位を占める女性の割合を、2020年までに30%に増やすとしている。

【経団連企業の取り組み】
 こうした背景から、経団連は14日、女性の役員・管理職登用に関し、目標を定めた会員企業の行動計画を公表した。47社の計画が公表され、うち27社は数値目標が明示されている。下記のようにな企業が目標を発表している。

・トヨタ自動車 2020年までに女性管理職を約3倍の300人、2030年までに500人にする
・資生堂    2016年度までに女性リーダーを現在の26.8%から30%にする
・清水建設   女性管理職を2011年12人から2016年36人に、3倍にする
・日立製作所  女性管理職を1000人(2012年の2.5倍)にする
・コマツ    女性管理職を現在の57人(3.6%)から2016年までに5%にする
・東京ガス   女性管理職を2009年の4.1%から5.8%にする

 経団連は会員企業1308社に自主行動計画の策定を呼びかけており、年末をめどに公開予定だという。

【日本の女性の活用は進むか】
 日本の女性の雇用については、海外メディアは度々厳しく報じている。

 ウェブ外交誌『ディプロマット』は、日本の女性は「竹の天井(東洋人の出世をはばむ見えない壁)」に直面していると指摘する。タイム誌も、「男性中心社会を変えるのは大変な努力が必要だ」(オリンパス元CEOマイケル・ウッドフォード氏)との言葉に言及し、困難な道のりを憂慮している。

 タイム誌が紹介するデータによると、女性労働者の給与は男性より約30%低い。厚生労働省のデータでは、民間企業での女性管理職は11%。女性の市長は0.8%。女性国会議員は衆議院で8%、参議院で16%にすぎない。2013年世界ジェンダーギャップ報告によると、男女平等な社会の国別順位では日本は105位である。

【今後の課題】
 ウェブ外交誌『ディプロマット』は、今後検討すべき課題として、次の点を挙げている。

・配偶者の所得が103万円未満の場合、配偶者控除を受けられるという税制面の優遇措置
(安倍首相はこれを廃止するとしている)
・育児休業制度の見直し(安倍首相は3年間の育児休業を提案)
・待機児童の解消

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Text by NewSphere 編集部