侵略否定発言のアルプス電気会長、中国工員1000人が包囲 海外紙も注目

 中国広東省の東莞市で1日、製造委託先の電子部品工場を視察していた片岡政隆・アルプス電気会長(63)が、従業員1000人に取り囲まれる事件があった。第二次世界大戦について、日本を擁護するような発言があり、それがきっかけだったと報じられている。

【きっかけとなった侵略否定発言】
 人民日報傘下の英字紙『グローバル・タイムズ』は、片岡会長が工場幹部との会議中、「日本は中国を侵略したのではなく、米国を始めとする諸外国の植民地化から守った」旨を発言した、と伝えている。

 朝日新聞によると、これを不満に思った中国人管理職の1人が、工場内に発言を伝えたらしい。結果、約1000人の工場従業員が仕事を中断して集まり抗議したという。ネット上には、制服を着た従業員たちがオフィスの建物入り口近くに集まっている写真が出回った、と香港の『サウス・チャイナ・モーニング・ポスト』は報じている。

 従業員は、片岡会長が謝罪するまで3時間近く抗議を続けた。会長の謝罪は6分間に及び、従業員への軽い一礼でしめくくられたという。『チャイナ・デイリー』は、片岡会長がメガフォンを使って謝罪する写真を掲載している。

 時事通信によると、アルプス電気広報IRグループは問題の発言について、「中国企業に頑張ってほしいという主旨だった」と話しており、真意が伝わらず誤解を招いたようだ。

【背景にある日中関係】
 ストライキが起きた1日は、折しも日本政府が集団的自衛権行使を容認した日と同日だった。戦後日本の平和主義からの大きな転換点として、国内外で物議を呼んでいる問題である。

 日中関係に改善の兆しが見えないことも、今回の騒動の背景にあるといえる。

【海外読者の反応】
 本件を報じた南ア紙『The New Age』には、以下のような意見が寄せられている。

・侵略ではなく、中国を守るためだったなんてどこからそんな考えが出てきたのか。日本の政治家は大虐殺に対して謝罪すべき。日本人の傲慢さがある限り中国人は対抗し続ける。
・会長は謝罪するのではなく、考えを見直すべき。
・日本人に対抗しているのではなく、歴史に対する日本人の態度に対抗している。
また、戦争を否定する片岡会長のような日本人は逮捕されて投獄されるべき、という強い意見もあった。

 動画サイト『ライブリーク』にも、日本を非難するコメントが寄せられた。
・日本人はいつも戦争犯罪を隠し、何もなかったかのように振る舞う。
・核兵器を使っていなかったら、米国は日本に侵略せざるを得なくなっていただろう。
・哀しいことに、この会長は発言したことを信じているのかもしれない。日本の教育システムのせいだ。

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Text by NewSphere 編集部