エアバッグ問題で世界300万台リコール ホンダ、日産、マツダ…日本販売分も多数対象に

 ホンダ、日産自動車、マツダは23日、助手席用エアバッグの欠陥により世界で合計300万台近くをリコールすると発表した。ウォール・ストリート・ジャーナル紙はトヨタ、BMW、クライスラーグループ、フォードモーターも、同じ問題により米国南部(プエルトリコなど含む)を対象にリコールを行うと報じている。

 リコール対象車はホンダがアコードやシビックなど203万3000台、日産がセントラ、パスファインダー、マキシマ、インフィニティなど75万5000台、マツダがアテンザ、RX-8、MPVなど約16万台。

【どれも同じメーカーのエアバッグ】
 問題となっているエアバッグは日本の大手自動車部品メーカーであるタカタ社製(ワシントン州またはメキシコの工場で2000年代はじめ~中頃に製造されたもの)で、衝突時にエアバッグを膨張させるガス発生剤の問題により、エアバッグが爆発して火災や負傷につながるおそれがあるとのことだ。

 ウォール紙は、衝突時でなくとも高温多湿の環境下で問題が発生する可能性に注目しており、そのため前述の南部地域限定リコールになっているという。すでに6件の事故が報告されており、1件は「爆発したエアバッグから飛んだ1インチ大の金属片が2005年ホンダシビックの運転者の右眼に当たり、失明および100針を要する顔面裂傷を引き起こした」という。

【部品共通化で大量リコール傾向】
 トヨタは昨年この問題ですでに214万台をリコールしていたが、タカタから受け取っていた要注意製品リストの精度が怪しかったため、欠陥の見込まれるものだけでなく、全車部品交換に踏み切ったという。ただし一時策として、また部品の不足のため、まずはエアバッグを作動しなくさせるとのことだ。

 ウォール紙によると、タカタは世界中の自動車メーカーに同様の部品を供給している。このような大量生産方式によって自動車メーカーは部品コストを節約できるが、その部品に問題が発生した場合、リコール件数は膨大となる(不具合隠し批判を恐れてメーカーが自らリコールに積極化していることもリコール増大傾向の背景にあると、以前報じられている)。タカタのエアバッグ問題は2009年以降、約1000万台のリコールにつながっているという。

【意外と平穏な株価】
 タカタは昨年11月、アメリカでのシートベルト価格談合を認め、7130万ドルの罰金に合意している。フィナンシャル・タイムズ紙は、リコールがタカタに「一層歓迎されざる注目を積み上げる」と評しているが、各紙、23日のタカタやホンダの株価はそう影響されなかったと報じている。タカタ株は2111円の2.9%上げて終えた。ホンダは3602円で0.63%下げ、マツダは491円で0.41%下げだ。

 タカタは「私どもは非常に重大にこれを受け止め・・・品質管理体制を強化し、同じ事態の再発生を防ぐべく努力いたします」「ビジネスパートナーや私どもの製品の利用者様など、関係各所にご迷惑とご心配をおかけしたことを深くお詫びいたします」などと声明している。

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Text by NewSphere 編集部