“1兆円出す” 日本のカジノリゾート開発へ、ラスベガス・サンズ本格進出か

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 24日、米カジノ運営大手ラスベガス・サンズのアデルソンCEOは、日本のカジノ市場への巨額投資の意向を表明した。カジノ合法化の法案が国会を通過し、市場が開放されれば、マカオに続く世界第2の市場になると見込まれる。海外メディアは、日本カジノ事業への期待を報じている。

◆オリンピック開催地決定が後押しになるか
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、カジノ合法化法案を推進する国会議員は、2020年夏の東京五輪までに最低1ヶ所のカジノリゾートを開設する狙いだと報じている。自民党、日本維新の会を始めとする議員は、12月にカジノ合法化法案を国会に提出。春先から法案が審議入りすることが期待されている。ブルームバーグは、現国会でカジノの枠組みを設定する法案を通過させ、続いてカジノ事業についての詳細な規制を通過させる必要がある、という議員の見解を報じた。

 ユニオン・ゲーミング・グループの予想では、日本でのカジノ市場の歳入は100億円、マカオに続いて世界第2の市場となる。マカオは中国で唯一カジノが合法で、2013年の収益はラスベガスの実に7倍、452億円だったとブルームバーグは報じている。

◆海外各社の日本カジノ事業への熱い視線
 ラスベガス・サンズは10年以上前にマカオのカジノに投資し、マカオで最大手の海外企業となった。2009年には110億ドルの負債を抱えていたが、昨年137億ドルを超える純収入を得たと、ウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。

 また同社のシンガポールでのリゾート開設成功を、日本国会議員はモデルケースとして見ているという。日本でカジノ市場開放となった場合には、ライセンス取得の有力候補と考えられている。

 今回アデルソン氏は、日本のカジノ事業に100億ドル(約1兆円)を投じる用意があると表明した。ブルームバーグによると、東京、大阪などの大都市への進出を考えているとのことだ。同社は、国際会議場やショッピングモールの入った大規模なリゾート建設をモデルとしているため、大都市を考慮しているのだろう、とアナリストは予想している。

 ラスベガス・サンズの他にも、米MGMリゾーツ社長ホーンバック氏は、日本のカジノ事業に数十億ドルを投資する用意があると発表した。またウィン・リゾーツ社開発部門責任者アジズ氏は昨年、40億ドルを上回る出資額を提示していた。

◆現地日本企業との提携も視野
 MGMリゾーツ、ウィン・リゾーツともに現地企業との連携の姿勢を示しているという。ラスベガス・サンズも、「役割分担を把握しリスクを恐れない姿勢がある企業」と提携する意向を表明している。アデルソン氏は一例として、ソフトバンク創始者の孫正義氏との連携を挙げた。

 ブルームバーグでは、提携企業となる可能性のある企業として他に、三井物産、三菱商事、セガサミーホールディングス、コナミなどを予想している。資金提供の経験と不動産開発におけるつながりを持つ商社や、海外でのカジノ開発、技術提供に協力してきたゲームメーカーが実績を買われるのではないかと見ている。

Text by NewSphere 編集部