ファーストリテイリング、香港上場へ? ユニクロ世界ブランド化に向け、中国市場強化の観測報道も

 ファーストリテイリングは9日、9-11月期の連結決算を発表。売上高は前年同期比22%増の3891億円、営業利益は同13%増の640億円、純利益は同9%増の418億円と過去最高を記録し、大幅な増収増益となったことを発表した。中国やアメリカでの予想以上の事業好調が要因となったようだ。

 同社の柳井正代表取締役会長兼社長は、中国、東南アジア、新興国に狙いを定めることで、2020年までにユニクロを世界ブランドにする目標を掲げている。

 なおユニクロは現在、中国に251店舗、香港に19店舗、アメリカに17店舗を展開している(2013年11月30日同社発表)。

【アジアでのブランド力強化】
 同社が香港証券取引所への上場を目指している、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。同紙によると、香港市場はこれまで、多くの中国企業が世界進出をはかるために利用してきたという。一方、日本の企業は今のところ3社しか上場していない。専門家は、「香港に上場しようとしている企業は、中国の購買力を求めている」と指摘している。

 関係者は、同社が香港のグロース・エンタープライズ・マーケット(創業板)への上場を狙って、米モルガン・スタンレーに業務を依頼したと話したようだが、ユニクロは正式なコメントを控えている。

 同紙は、香港上場がうまくいけば、アジア太平洋地域、特に中国でユニクロの知名度を高めることになるだろう、と予想している。専門家は、香港上場により、中国やアジア地域でブランド力を上げることができると語る。さらに、中国市場での事業拡大をねらうのであれば、株の売却で安定した人民元を集め、通貨危機を回避することができると説明している。

【アメリカでの店舗展開】
 また、同社は8日、2014年の春から夏にかけてアメリカ5ヶ所にユニクロの新規店舗を開店することを発表。ペンシルバニア州に1店舗、コネティカット州に1店舗、カリフォルニア州に3店舗の開店を予定しているという。ブランドの知名度を上げるため、事業拡大を継続するとした。

 ユニクロUSAのラリー・マイヤー最高執行責任者(COO)は、「新規店舗開店を発表し、アメリカのより多くの地域でユニクロの商品を提供できることに大きな喜びを覚えています」、「多くの人に愛される高品質の日常着、世界的にも高評価のサービス、近代的で美しい店舗が、ユニクロの新しいお客様を魅了することと思います」とファーストリテイリングのホームページで述べた。

 また同氏は、アメリカでの同社のマーケティングについて、「多くの時間と経費を広告やメール、ネットでの情報提供に費やしている。今年初めてテレビCMも開始した。これらすべてが合わさって非常にうまくいっている」とメディア・ポストのインタビューに答えている。

ユニクロ帝国の光と影 (文春文庫)

Text by NewSphere 編集部