打倒中国 日本、世界最速スパコン開発へ 勝利の鍵は?

 文部科学省は先月24日、2020年までに「京(けい)」の100倍の計算性能を有するエクサ級のスーパーコンピューターを実現するため、12億円を計上すると発表した。

 2011年に世界最速だったスパコン「京(けい)」を手がけた理化学研究所が主体となり、開発に着手する。

 最新のスパコン処理能力ランキングTOP500では、世界最速は中国の「天河二号」、「京」は4位に後退している。

【エクサ級を最初に開発した国は、国際的に優位に立てる】
 エクサ級が完成すれば、新薬開発、気象予報、天体物理学など幅広い分野において格段な進歩が見込まれる。ただ、スパコンは国家安全保障や科学技術力の強化に必須とされており、国際競争も熾烈だ。

 アメリカは2024年までにエクサ級システムを完成させたい狙い。ヨーロッパは2020年までにARMベースのエクサ級システムを完成させることを示唆している。中国は2018~20年にエクサ級を完成するとみられているが、公式発表はまだない。

【ペタ級からエクサ級への最大の課題は、電力性能の向上】
 現在、世界最速の「天河二号」は33.86ペタフロップス(コンピュータの処理速度をあらわす単位の一つ)で、エクサフロップスはその約30倍の速さとなる。課題となるのは、巨大な消費電力だ。

 タイム誌は、「2020年までにエクサ級開発は無理だ」という、ローレンス・バークレー研究所のホルスト・サイモン副所長の見解を掲載した。同氏は、既存の技術でエクサ級の処理はできるが、そのスケールで必要な電力はけた外れだという。

 一方、コンピューター・ニュース・ミドル・イースト誌は、エクサ級開発の障壁はメモリだと指摘。エクサ級にDRAMメモリは遅過ぎて高価だが、まだ代替するものはないと報じた。

【量子コンピューター開発でも国際競争が激化】
 エクサ級以外に、量子コンピューター開発でも各国が競争していると、同誌は報じた。素粒子を用いる量子コンピューターはすべての計算方式を追い抜く可能性があるという。

 イギリスは先月、今後5年間で量子コンピューターに4億4400ドル投資すると発表した。アメリカのNASAエイムズ研究センターは、512量子ビットの量子コンピューター「D-Wave 2」を導入。11月には、米グーグルと共同で同センター内に「量子人工知能研究所」を開設すると発表している。

Text by NewSphere 編集部