認識不足、情報共有の欠如・・・海外紙が着目する、みずほ不正融資問題のポイント

 みずほ銀行の暴力団不正融資問題について、第三者委員会(委員長は中込秀樹・元名古屋高裁長官)は28日、調査報告を発表した。

 報告書は、20日間、関係者85人への聴取を踏まえ、102ページにわたる。それでも国内の報道では踏み込み不足が指摘されているが、海外の報道ではその点には触れられていないようだ。

【海外紙は、「他人事」の対応だったと指摘】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、報告書の要点を「8つの問題」としてまとめている。総じて、問題の重大さの認識不足や、組織内での問題共有の欠如などを指摘するものだ。

 すなわち、みずほは本件を、融資を直接行った関連会社、オリエントコーポレーション(オリコ)の問題に過ぎないと考えていた。犯罪組織との関係遮断一般についても重視しておらず、明確なルールもなければ、担当者と経営陣の間での相談・指示もなかった。部門間でも問題共有がなく、すべてコンプライアンス部門に丸投げされていた。内部監査も機能していなかった。

 さらに、2011年のシステム障害事件を受けての組織大改編が、一層事態を悪化させた。例えば、退任する当時の西堀利頭取から後任の塚本隆史新頭取へ、(2010年7月時点で西堀氏が把握していた)不正融資問題についての引き継ぎはなされなかった。

 調査報告は、みずほが当初、金融庁に誤った報告をしていたことも、担当者の記憶だけに基づいていたせいだと指摘した。ただし意図的な隠蔽ではなかったとの言い分を認めている。

 他に、フィナンシャル・タイムズ紙は、個々の融資が小口の自動車ローンの形であったため経営陣の注意を惹きにくかった点や、みずほが3銀行の対等合併の形で誕生したため派閥が生じ、統治構造に隙間ができた点なども指摘している。

【最高責任者の処分は減俸】
 みずほは本件に関連して、54幹部の処罰を発表した。佐藤康博頭取は減俸6ヶ月。塚本氏は銀行会長を退任するが、金融グループの会長としては残留。西堀氏は報酬の一部返還を求められる。なお、西堀氏は調査開始時と同様、依然としてコメントを断り続けている模様である。

 また、みずほは組織犯罪対策専門の委員会設置や、コンプライアンスとガバナンスの専門知識を持つ社外取締役の雇用を表明した。金融庁は、これらの対策案について検討後、みずほの処遇を決めるという。

Text by NewSphere 編集部